積年愛に囚われて〜兄的幼馴染は秘め続けていた想いを開放したい〜

EP-23

諒がやって来たのはその翌日だった。八時を過ぎた頃にインターホンが鳴った。

迎えに出た私がまだ少し足を引きずっているのを見て、諒はわずかに眉をひそめる。

「しっかり歩けるようになるには、やっぱりもう少し先って感じだな」

「でも、痛みはだいぶ楽になったよ。体の方も前ほどじゃなくて、こうやって動けるまでになったし。――座ってて。今、ご飯の準備するね」

「無理しなくていいよ」

「無理してるわけじゃないよ。リハビリみたいなものだと思って動いてるの」

「だったらいいんだけど」

心配な表情を崩さない諒に、私は笑顔を見せた。

「それにね、実は昨日栞が来てくれたんだけど、食材をたくさん買ってきてくれたの。特にやることもないから、色々作っちゃった。お母さんが作ってくれたおかずもまだあって、一人じゃ食べきれないって思ってたから、諒ちゃんが来てくれて良かった」

諒の表情が少し和らいだ。

「手伝うよ。何をすればいい?」

「冷蔵庫の中の、黄色とオレンジ色のタッパー出して、あっためてくれる?」

「分かった」

私は諒に手伝ってもらいながら、夕食の準備をした。彼と向かい合って座りながら食事をする。食べ終えて箸を置いた私は、おずおずと言った。

「あのね、栞にばれちゃってた。私たちがつき合ってること」

「あぁ……」

諒も箸を置いた。

「宣言するようなことじゃないからと思って、特に言ってなかったよな。そういう余裕もなんだかなかったしさ。凜にも言ってないや」

「栞が言うには、病室にみんながそろっていたあの時、私たちの様子を見て気づいたって」

諒は苦笑いを浮かべた。

「ってことは、たぶん凜も気づいたかもな」

「うちのお母さんは、気づいていないかも」

「どうしてそう思うんだ?」
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