積年愛に囚われて〜兄的幼馴染は秘め続けていた想いを開放したい〜
EP-24
結局、二週間近く休んでしまった。
みんなに迷惑をかけてしまったなーー。
気まずい思いでオフィスに入っていったが、同僚たちは思っていた以上に温かく迎えてくれた。その中には私と幸恵の因縁を知っていた人もいたはずで、少しの同情も含まれていたかもしれない。
お詫びとして用意した菓子を手に、部長の元へ挨拶に行く。事がことだけに心配をかけたようだ。私の顔を見た部長は、まず体調を気遣う言葉を掛けてくれた後、希望するなら当面半日勤務にしてもいいからとまで言ってくれた。それからわずかに声を落とす。
「例の派遣の人ね、あの人にはやめてもらったからね。営業部には今、別の人が来ているから、よろしく」
「はい、分かりました」
一礼をして自分の席に戻ると、隣の席の同僚が声を潜めて話しかけてきた。私と将司がつき合っていたことを知っていた一人だ。
「大原さん、一応教えておくね。営業部の多田さん、会社辞めたわよ」
「えっ……」
息を飲む私に彼女は話を続けた。
「あの派遣の人、営業部の課長たちに訊ねられて全部話しちゃったみたい。まさか多田さん、彼女と浮気してたなんてね……。今回の大原さんのけがの原因、その一端が自分の浮気にあると知っていたたまれなかったでしょうね。多田さん本人が直接何かしたわけじゃないにしてもね」
同僚に悪気がないのは分かっている。しかし、その渦中の一人だった私もまた、いたたまれない気持ちになっていた。一方で安堵していたのも事実。偶然でもない限り、今後彼らと会うことはまずないだろう。どこかすっきりしない気持ちはあったけれど、今度こそ本当にこの一件は終わったに違いないと、ようやくそう思えた。
みんなに迷惑をかけてしまったなーー。
気まずい思いでオフィスに入っていったが、同僚たちは思っていた以上に温かく迎えてくれた。その中には私と幸恵の因縁を知っていた人もいたはずで、少しの同情も含まれていたかもしれない。
お詫びとして用意した菓子を手に、部長の元へ挨拶に行く。事がことだけに心配をかけたようだ。私の顔を見た部長は、まず体調を気遣う言葉を掛けてくれた後、希望するなら当面半日勤務にしてもいいからとまで言ってくれた。それからわずかに声を落とす。
「例の派遣の人ね、あの人にはやめてもらったからね。営業部には今、別の人が来ているから、よろしく」
「はい、分かりました」
一礼をして自分の席に戻ると、隣の席の同僚が声を潜めて話しかけてきた。私と将司がつき合っていたことを知っていた一人だ。
「大原さん、一応教えておくね。営業部の多田さん、会社辞めたわよ」
「えっ……」
息を飲む私に彼女は話を続けた。
「あの派遣の人、営業部の課長たちに訊ねられて全部話しちゃったみたい。まさか多田さん、彼女と浮気してたなんてね……。今回の大原さんのけがの原因、その一端が自分の浮気にあると知っていたたまれなかったでしょうね。多田さん本人が直接何かしたわけじゃないにしてもね」
同僚に悪気がないのは分かっている。しかし、その渦中の一人だった私もまた、いたたまれない気持ちになっていた。一方で安堵していたのも事実。偶然でもない限り、今後彼らと会うことはまずないだろう。どこかすっきりしない気持ちはあったけれど、今度こそ本当にこの一件は終わったに違いないと、ようやくそう思えた。