積年愛に囚われて〜兄的幼馴染は秘め続けていた想いを開放したい〜

諒EP-6

瑞月が俺の部屋で一緒に暮らす――。

そのきっかけとなる理由が決していいものではなかったから、諸手を挙げて喜ぶわけにはいかない。それでも、手を伸ばせばすぐ届くところに彼女がいるということに、俺は心の底から幸せを感じていた。

そういう気持ちは、隠しているつもりでも表面に出てしまうものなのだろうか。

瑞月と暮らし始めて数日たったある日の昼。食堂で昼食を取っている時、先輩ドクターに声をかけられた。

「お疲れ様。隣、いい?」

「お疲れ様です。どうぞ」

先輩はチャーハン大盛りを乗せたトレイを持って、テーブルについた。水を飲み、大きな一口でチャーハンを食べてから、にやっと笑って俺を横目で見た。

「久保田先生さ、最近いいことあったでしょ」

「え?いいことですか?うぅん、なんだろうな」

俺は首を傾げた。たくさんありすぎて逆に思いつかない。ま、ほとんどが瑞月がらみだが。

「またまた、とぼけなくてもいいから。もしかして、結婚でも決まった?ここ最近の先生、仕事終わると速攻で帰るじゃない。しかもふとした拍子ににやにやしてたり。え?自分で気づいていなかった?それに、ナースたちの噂もちらっと耳にしたよ。みんな、久保田先生の心をつかんだ女性っていうのに興味あったみたいね。その人ってやっぱり、前に電話してた彼女さん?ご飯食べさせてみたいな電話だったかな。あの頃と比べると、なんていうの、幸せオーラってやつ?まぶしいくらいだだ洩れだからさ」

別段特に隠すつもりはない。師長は一応黙ってくれていたようだが、案の定というか、やっぱりというか、周りに知られたのは早かった。

そしてこの先輩は、例の女性をけん制するために瑞月に電話をかけた時に一緒にいた人だった。俺は苦笑しながら肯定した。

「まぁ、そういうことですね」
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