積年愛に囚われて〜兄的幼馴染は秘め続けていた想いを開放したい〜
街に用があって出かけた先で、瑞月が男と寄り添って歩く姿を目撃してしまった。それがどんな男か確かめずにはいられなくなり、二人に追いついた俺は瑞月に声をかけた。その男が高山だと知った時は、自分でも驚くほど激しく動揺した。
いとことは、恋愛も結婚もありだ――。
そう思ったら、二人の親しそうな様子に焦り出した。瑞月を取られるんじゃないかと思った。
その時のことは、今となって振り返ると非常に恥ずかしい。凛の恋愛対象についてはその後すぐに聞くことになり、もう知っている。そして今や彼とは親友だ。
凛が言うには、その時の俺の態度はおもしろいほど分かりやすくて、からかいがあったらしい。
それが俺たちの間で話題になると、必ず最後に凛は心配そうな、呆れたような顔をして言うのだ。
「いつか意識してくれるまで、なんてことを言ってもたもたしていると、脇から持ってかれちゃうんだからね」
「そんなこと、分かってるよ」
そう答えながらも、俺は行動を起こせないでいた。
瑞月と会っていない時間も、彼女の笑顔や彼女の声を思い出すたびに胸苦しさを覚えるようになっていた。けれど、瑞月はまだ中学生だ。もしも今想いを伝えて、瑞月に拒絶されたら――そう思うと怖かった。
だから俺は、まだしばらくの間はこの気持ちを秘めておこうと決めた。どのみちこの想いは、この先もきっとずっと変わらないという確信があったし、大事に育てられてきた奥手な瑞月が恋に目覚めるのは、まだ先だという思いもあった。
俺は瑞月との心地よい関係を、まだまだ手離したくはなかったのだ。
いとことは、恋愛も結婚もありだ――。
そう思ったら、二人の親しそうな様子に焦り出した。瑞月を取られるんじゃないかと思った。
その時のことは、今となって振り返ると非常に恥ずかしい。凛の恋愛対象についてはその後すぐに聞くことになり、もう知っている。そして今や彼とは親友だ。
凛が言うには、その時の俺の態度はおもしろいほど分かりやすくて、からかいがあったらしい。
それが俺たちの間で話題になると、必ず最後に凛は心配そうな、呆れたような顔をして言うのだ。
「いつか意識してくれるまで、なんてことを言ってもたもたしていると、脇から持ってかれちゃうんだからね」
「そんなこと、分かってるよ」
そう答えながらも、俺は行動を起こせないでいた。
瑞月と会っていない時間も、彼女の笑顔や彼女の声を思い出すたびに胸苦しさを覚えるようになっていた。けれど、瑞月はまだ中学生だ。もしも今想いを伝えて、瑞月に拒絶されたら――そう思うと怖かった。
だから俺は、まだしばらくの間はこの気持ちを秘めておこうと決めた。どのみちこの想いは、この先もきっとずっと変わらないという確信があったし、大事に育てられてきた奥手な瑞月が恋に目覚めるのは、まだ先だという思いもあった。
俺は瑞月との心地よい関係を、まだまだ手離したくはなかったのだ。