積年愛に囚われて〜兄的幼馴染は秘め続けていた想いを開放したい〜
「何かな」
父が短く言った。
心なしか場の雰囲気がピリッとしたものに変わった気がした。
けれど、父の隣に座る母は目元を緩ませて私たちを見ている。
息を詰める私の隣で、諒は落ち着いた様子で言葉を続けた。
「瑞月さんとは、少し前から結婚を前提にしたお付き合いをさせていただいています。そのご報告と、そう遠くない将来、彼女と結婚することを許していただきたいと思い、今日は伺いました。私たちの二人の交際を、認めて頂きたいのです。どうかよろしくお願いいたします」
諒が頭を下げるのを見て、私もそれにならう。
きっと許してもらえると信じてはいるが、二人から「諾」の返事をもらうまではやはり緊張する。
「二人とも頭を上げて」
父は母と顔を見合わせてから、諒をじっと見た。
「瑞月は一人娘で、大事に大事に育ててきました。世間知らずな所もたくさんあると思うけれど、この子には誰よりも幸せになってほしいと思っている。そんな娘ですが、これから先、諒君は私たちの代わりに、いや、私たち以上に瑞月を大切にしてくれますか」
父たちの想いに胸を熱くしている私の隣で、諒は大きく頷いた。
「もちろんです。約束します。それに、いずれはこちらに戻ってきて、医者の仕事を続けていきたいと考えているんです。どういう形になるかは、父と相談することになると思いますが……。だから瑞月だけじゃなく、お二人にも寂しい思いはさせません」
「そうか……」
父は深々と大きな息をつくと、いつものくだけた調子に戻って言う。
「堅苦しいことを言ったけれど、認めるも認めないもない。瑞月が選んだ人だし、諒君にだったら、瑞月のことを任せても大丈夫だと信じられる。なぁ、母さん?」
父が短く言った。
心なしか場の雰囲気がピリッとしたものに変わった気がした。
けれど、父の隣に座る母は目元を緩ませて私たちを見ている。
息を詰める私の隣で、諒は落ち着いた様子で言葉を続けた。
「瑞月さんとは、少し前から結婚を前提にしたお付き合いをさせていただいています。そのご報告と、そう遠くない将来、彼女と結婚することを許していただきたいと思い、今日は伺いました。私たちの二人の交際を、認めて頂きたいのです。どうかよろしくお願いいたします」
諒が頭を下げるのを見て、私もそれにならう。
きっと許してもらえると信じてはいるが、二人から「諾」の返事をもらうまではやはり緊張する。
「二人とも頭を上げて」
父は母と顔を見合わせてから、諒をじっと見た。
「瑞月は一人娘で、大事に大事に育ててきました。世間知らずな所もたくさんあると思うけれど、この子には誰よりも幸せになってほしいと思っている。そんな娘ですが、これから先、諒君は私たちの代わりに、いや、私たち以上に瑞月を大切にしてくれますか」
父たちの想いに胸を熱くしている私の隣で、諒は大きく頷いた。
「もちろんです。約束します。それに、いずれはこちらに戻ってきて、医者の仕事を続けていきたいと考えているんです。どういう形になるかは、父と相談することになると思いますが……。だから瑞月だけじゃなく、お二人にも寂しい思いはさせません」
「そうか……」
父は深々と大きな息をつくと、いつものくだけた調子に戻って言う。
「堅苦しいことを言ったけれど、認めるも認めないもない。瑞月が選んだ人だし、諒君にだったら、瑞月のことを任せても大丈夫だと信じられる。なぁ、母さん?」