積年愛に囚われて〜兄的幼馴染は秘め続けていた想いを開放したい〜
シャワールームを出た私は、息が上がっていた。体のずっと奥の方がじれったくうずく。

諒は裸の私にバスローブを着せ掛けると、脱衣スペースに置かれた丸椅子に座らせた。それから、私の髪を丁寧に乾かしてくれる。

温かいドライヤーの風が心地よい。火照った気持ちも体も、ほんの少しだけ落ち着いていくようだ。

「これでよし」

「ありがとう。諒ちゃんの髪、乾かしてあげようか」

「俺はすぐ乾くよ。瑞月は先に部屋に戻っていなよ。クールダウンしないとな」

「いったい誰のせいなのよ」

苦笑交じりに私は諒をひとにらみして部屋に戻った。背もたれにかけたままだった諒のジャケットや脱ぎっぱなしだったスラックス、自分の服などをハンガーにかけてから、ソファに体を預けてほっと息をつく。落ち着いたら水を飲みたくなった。備え付けの冷蔵庫の中を見てみようと立ち上がりかけた時、バスローブを着た諒が戻って来た。

「どうした?」

「お水飲みたいの」

「座ってて。持っていくよ」

諒は冷蔵庫を開けて、水が入ったペットボトルを取り出した。それを持って私の前まで来ると、キャップを空ける。そのまま私に渡してよこすのかと思っていたら、ぐいっと自分の口に含んだ。

口移しで飲まされた水が、こくんと喉を落ちていく。飲み込み切れなかった水が溢れて私の顎を伝い、喉から胸元へと流れた。

「冷たい……」

私は水が流れた跡をふき取ろうとした。しかし諒の手がそれを止める。

「諒ちゃん?」

彼は無言のまま、こぼれた水を吸い取るように私の顎から喉へと口づけていった。

「っ……」

諒の唇が胸元まで降りて行く。肌を濡らしている水滴を、彼は舌を滑らせてなめ取った。その感触に吐息をこぼす私の唇を塞ぐ。唇を離すと、諒は私のバスローブに手をかけた。

「明るいよ……」

灯りの下にさらけ出された胸を隠す私の手をそっと外し、諒はそのままソファの前にひざをついた。その感触を確かめるような手つきで私の胸に触れながら、その先を口の中に含む。

生暖かい舌の感触にぞくぞくし、私の息は乱れ出す。

「カーテンが……」

「外には何もない。誰も見ていないよ」
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