積年愛に囚われて〜兄的幼馴染は秘め続けていた想いを開放したい〜
諒はびっくりしたように目を見開いた。

「え?」

「この前あんなことがあったから、諒ちゃんと一緒にいてくれた方が安心なんだって」

「あのおばさんが……。それで、もう一緒に住んでることは話したのか?」

「まだよ。諒ちゃんに訊いてからと思って、言わなかった。諒ちゃんのおうちの考えもあるだろうからね」

諒はくすっと笑った。

「いちばんハードルが高いと思っていた瑞月の両親、特におばさんがそうしてもいいって言ってるんだよな?それなら、うちの親たちが反対する理由なんて何もないだろう。いつ引っ越してきてもいいぜ。少しづつ荷物を運んでもいいけど、次の俺の休みの時にでも、一気に引っ越してくる?」

「え、いいの?」

「もちろんだよ」

諒はラグの上に腰を下ろすと、脚の間に私を座らせ腕を回した。

「それとは別に、年末年始は交代で少し正月休みをもらえる予定なんだけど、その時実家に帰るつもりでいるんだ。それで、これからのことを父さんと話して来ようかと思ってる。いずれはクリニックを手伝おうと思ってたけど、瑞月と結婚するし、そろそろ時期かなと思ってさ。その結果でいつ向こうに戻るかを決めようと思ってるんだ。そんなわけで、場合によっては、新婚生活はそのままこの部屋で、ってことになるかもしれないけど、いい?」

「そんなの全然構わないよ。でも、本当にもうここに来て住んでいいの?もう少し恋人の時間を過ごしたいって言ってなかったっけ。それなら、まだ別々に住んでた方が良かったりするんじゃ……」

「確かにそう言ったけど」

諒は私をぎゅっと抱き締めた。
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