積年愛に囚われて〜兄的幼馴染は秘め続けていた想いを開放したい〜
「そうかな?」

「伸びるだろ。だって、おじさんもおばさんも身長あるし」

「そういうもの?」

「そういうものなんじゃないの?ま、小さいお前も可愛いけどね」

そう言って、諒は私の頭の上にぽんと手を置いた。

私はふくれっ面をしてみせた。

「また子ども扱いする」

「だって、子どもだろ。中学生なんてさ」

「ふん、っだ。何年かたったら、諒ちゃんの手が届かないくらいのいい女になってるんだからね」

「ぜひ、そうなってくれ」

くすくすっと笑う諒にムッとしていると、栞が廊下に顔を出した。

「ちょっと、瑞月。お兄ちゃんなんかと遊んでないで、早くこっち、始めようよ」

「はいはい」

「栞、お前、チョコなんか作れるのか?」

「だから瑞月に来てもらったに決まってるでしょ。自慢じゃないけど、あたし、ほんとに苦手なんだもの」

「それなのに、よく作る気になったな」

「別にいいでしょ。もしもうまくできたら、仕方ないから、後でお兄ちゃんにも味見させてあげる」

「成功するように祈っててやるよ。――瑞月、栞の手伝いなんか、面倒でしかないだろう?」

「全然、そんなことないよ。こういうのは私も好きだから」

「瑞月、早くこっち。お兄ちゃん、さっさと部屋に戻ってよね。勉強あるんでしょ」

「邪魔者はさっさと消えればいいんだろ」

諒は苦笑しながら肩をすくめた。
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