積年愛に囚われて〜兄的幼馴染は秘め続けていた想いを開放したい〜

EP-31

年が改まり、時期をずらして休暇をもらった諒と共に私は地元に帰った。一泊する予定だ。

今回の帰省では、本当はもう同棲しているけれど、一緒に住むという確認というか報告を、改めて互いの両親に伝えるつもりだった。諒の方はもう一つ、今後のことを父親と相談するという目的もあった。互いの実家に顔を出した後は、それぞれの実家に戻って話をする。その夜は親子水入らずの時間を過ごすことになるだろうと思っていたが、母たちが連絡を取り合い、結局両家合同での飲み会のようになってしまった。遅れて来ていた栞夫婦も一緒だ。

私の隣に座った栞がにこにこしながら言う。

「おばさんたち、結婚前なのに、よく一緒に住むこと許したねぇ」

栞にはもう話してあった。

「それだけお兄ちゃんのことを信頼してくれてるってことね」

「そうだね。一人でいるより諒ちゃんと一緒に住んでいた方が、安心らしいよ」

「で?引っ越しの予定とかはもう決まったの?」

「うん。今月、連休あるでしょ?その最後の日にね。それまで細かいものは少し運んでおく予定だよ」

そう言ってから、私は謝った。

「ごめんね、栞の部屋、使うことになるんだ」

「どうして謝るの?全然問題ないよ。もうあたしは住んでいないし。でも、新しく借りなかったんだね、部屋」

「諒ちゃん、いずれはこっちに戻る予定でいるでしょ?今回、おじさんとその話をしたはず。こっちに来てから改めて住む場所探そうって言ってるんだ」

「そうなんだ。その頃は、瑞月も『久保田』になってるかな?」

「なってるはずだよ」

「ふふっ、そっか。あたしたち、義理とは言え、本当の姉妹になるわけか。嬉しいけど不思議だなぁ。瑞月、本当におめでとう。幸せになってね」

「ありがとう」

私たちは互いに瞳を濡らしながら、笑い合った。
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