積年愛に囚われて〜兄的幼馴染は秘め続けていた想いを開放したい〜
諒と彼の妹の栞は私の幼馴染の兄妹で、近所でクリニックを開業している整形外科医の子どもたちだった。彼らの母親も、事務方としてそのクリニックを手伝っている。

母親たちが中学時代からの親友同士である関係で、私たちもまた、小さい頃から互いの家を自由に行き来するほど仲が良かった。我が家の食卓を一緒に囲む機会も多く、一人っ子だった私は二人のことを本当の兄妹のようにも思っていた。

栞と一緒に私もよく諒に遊んでもらった。小さな妹分二人の子守は大変だったと思う。けれど母たちが言うには、諒は文句も言わず、いつも私たちの面倒を見てくれていたらしい。

私は転んだり足をくじいたりと、ケガが多い子どもだった。そのため、諒の父親にはよくお世話になったものだが、小学校の低学年の時だったと思う。体育の授業中に足首を捻挫したことがあった。それは歩くのも大変なほどで、やむを得ず何日か家で大人しく過ごすことになった。

その時、諒は同じクラスだった妹の栞から私のケガのことを聞きつけて、すぐに様子を見に来てくれた。そんな彼は、私にとっても大好きな優しいお兄ちゃんだった。

しかし、中学生になってからの諒は、それまでのように私たちと一緒にいることが少なくなった。栞に訊ねると、部活だけではなく塾にも通い始めたと言う。
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