積年愛に囚われて〜兄的幼馴染は秘め続けていた想いを開放したい〜

EP-4

元々が家族ぐるみの付き合いだったこともあって、両親たちは、栞はもちろん諒のことも信頼していた。だから、私が家を離れて大学に通うことになった時、一人暮らしを許してもらえたのは、いとこの凜に加えて二人の幼馴染たちのおかげも大きかった。

本当は、母は私を地元の短大に家から通わせたかった。

けれど私は、地元を離れた大学に行きたかった。一度でいいから家を出てみたかった。実家が嫌いだったのではない。こういう機会でもなければ、一人娘の私はきっとこの先、父たちが探してくるお見合い相手と結婚することになってしまうんじゃないかと、漠然と思っていたのだ。だからこの大学受験は私にとって、長くは続かないかもしれない自由を得るための、貴重なチャンスだった。

できることなら他県に出て行きたいと思ってもいたが、それは母に猛反対された。

そもそも、大学を受験したい動機が不純だという自覚があった。だから、母の反対を押し切ってまで県外の大学を受験しようという熱意は、私にはなかった。

結果的に、当時凜が住んでいた県内の某街の大学であれば、と両親は妥協し許してくれた。

そこは興味のある講義を持っている学校でもあったから、特に不満はなかった。とは言え、その大学を受けるためには、残念ながら私の成績ではぎりぎりだった。

私が通っていたのは、地元ではお嬢様学校とも呼ばれる女子校だった。生徒たちは華やかな雰囲気の女の子たちが多く、お年頃の彼女たちの会話は恋やおしゃれの話題に溢れていた。
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