積年愛に囚われて〜兄的幼馴染は想いを秘め続けていた〜
「そんな言葉だけじゃ、許せない」
「ごめんよ。とにかくその荷物、貸せよ。ずっと持ちっぱなしで、手が疲れただろ」
「……うん。お願い」
私はうつむいたまま諒に荷物を渡した。どんな顔で彼を見たらいいのか分からない。
それに気づいているのかいないのか、諒は歩き出しながら、今の出来事とはまったく無関係なことを口にした。
「今日の晩飯は、何を食べさせてくれるの?」
私は自分の足元を見たまま答えた。
「トマトパスタとかどうかなって思って……」
「うまそうだな」
諒の少し後ろを着いて歩きながら、だんだんと腹立たしくなってくる。私だけが動揺しているのはどう考えても不公平すぎるし、そう簡単に「なかったこと」になどできない。私は彼の背中に向かって言った。
「こんな形で諒ちゃんにファーストキスを奪われたこと、やっぱり許せない」
「本当にごめん。……どうしたら許してくれる?」
振り返り私を見る諒は、しゅんとしていた。
その姿に子どもの頃のことを思い出した。何が原因だったのかは覚えていないが、その時私は諒に対してひどく腹をたてて言い放った。
諒ちゃんとはもう喋らない!
その後何日か彼を無視し続けた。しかし最後にはお菓子か何かでごまかされ、あっさりと許してしまった。もともとたいした理由ではなかったのだろう。
その思い出のおかげか、腹立ちは少し収まり、同時に冷静になる。派手なあの女性が諒の彼女になるようなことがなくて本当に良かった、これで当面は彼も静かに過ごせるはずと安心した。しかし、それとこれとは別である。ペナルティの一つでも与えないことには気が済まない。そこで思いついたのは、恐らく諒にとっては最大最悪の嫌がらせ。これで私の溜飲もだいぶ下がるというものだ。
「ごめんよ。とにかくその荷物、貸せよ。ずっと持ちっぱなしで、手が疲れただろ」
「……うん。お願い」
私はうつむいたまま諒に荷物を渡した。どんな顔で彼を見たらいいのか分からない。
それに気づいているのかいないのか、諒は歩き出しながら、今の出来事とはまったく無関係なことを口にした。
「今日の晩飯は、何を食べさせてくれるの?」
私は自分の足元を見たまま答えた。
「トマトパスタとかどうかなって思って……」
「うまそうだな」
諒の少し後ろを着いて歩きながら、だんだんと腹立たしくなってくる。私だけが動揺しているのはどう考えても不公平すぎるし、そう簡単に「なかったこと」になどできない。私は彼の背中に向かって言った。
「こんな形で諒ちゃんにファーストキスを奪われたこと、やっぱり許せない」
「本当にごめん。……どうしたら許してくれる?」
振り返り私を見る諒は、しゅんとしていた。
その姿に子どもの頃のことを思い出した。何が原因だったのかは覚えていないが、その時私は諒に対してひどく腹をたてて言い放った。
諒ちゃんとはもう喋らない!
その後何日か彼を無視し続けた。しかし最後にはお菓子か何かでごまかされ、あっさりと許してしまった。もともとたいした理由ではなかったのだろう。
その思い出のおかげか、腹立ちは少し収まり、同時に冷静になる。派手なあの女性が諒の彼女になるようなことがなくて本当に良かった、これで当面は彼も静かに過ごせるはずと安心した。しかし、それとこれとは別である。ペナルティの一つでも与えないことには気が済まない。そこで思いついたのは、恐らく諒にとっては最大最悪の嫌がらせ。これで私の溜飲もだいぶ下がるというものだ。