積年愛に囚われて〜兄的幼馴染は秘め続けていた想いを開放したい〜

EP-5

次の週末、私は約束通り、幼馴染たちの部屋を訪ねることになった。その前に彼らのマンション近くのスーパーで栞と待ち合わせる。

あれが食べたい。これも食べたいな。

楽しそうに言いながら買い物カートを引っ張る栞の隣で、私は食材を選んでいった。事前に確認済みの、栞たちの部屋には常備していない物や生鮮食品を中心に、少しだけ買い足す。もちろんお菓子などを買うことも忘れない。

「これくらいで大丈夫かな」

セルフレジへ向かい、財布に手をかけると、栞がにっと笑って私を止めた。

「うちで全部持つって言ったでしょ?」

「そうだったね。それじゃあ、よろしくお願いします」

ここであれこれ言い合うのも周りに迷惑だから、私はあっさりと引き下がった。レジを通した物を栞がマイバッグ二つに詰め込むのを、意外に手際がいいと感心しながら彼女の隣に立って眺めていた。

「一つ持つよ」

「そんなに重くないから大丈夫だよ。瑞月はお泊りの荷物もあるしね」

「そう?じゃ、お言葉に甘えてお任せするね」

スーパーを出てから十分ほど歩き、栞たち兄妹が住む部屋へ向かう。

栞の後に続いて玄関に入ると、諒が姿を現した。

この幼馴染の顔を見るのは半年ぶりくらいだ。大学に入ってからの彼が実家に戻って来るのは、盆や正月の時くらいだったから、それ以前のように頻繁には会っていなかった。
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