【改訂版】積年愛に囚われて〜兄的幼馴染は想いを秘め続けていた〜
「優しいのは瑞月にだけだよ。あたしにはこんなんだよ。ほんと、いつも口うるさいんだから」
「お前がそういう可愛くない性格してるからだろ」
「二人ともやめてよ!本当は仲良しなくせに」
私は苦笑しながら二人の間に割って入った。
「栞、宿題始めようよ。終わんなくなっちゃうよ」
「あ、やだ、そうだね」
私の言葉に、栞はやっと今日の目的を思い出したようだ。それから、諒を追い払うかのようにしっしっと手を振る。
「ほら、お兄ちゃん、早く出てって」
諒はやれやれとでも言いたげな顔をして、部屋を出ていこうとした。しかしドアのところで足を止めて振り返り、私に向かって笑いかける。
「瑞月、クッキーありがとう。こういうのって嬉しいな」
「また作ったら食べてくれる?」
「あぁ、楽しみにしてるよ」
頷く諒に、私はふと思い出して言った。
「あのね、いとこが諒ちゃんと同じ高校に入ったんだよ」
「例の仲良しのいとこか?そう言えば、今まで名前を聞いたことなかったよな。なんていう人?」
「凛。高山凛って言うの。だからね、もしも会ったら仲良くしてほしいな」
「高山凛さんね。よし、覚えとくよ。じゃ、またな。宿題頑張れよ」
諒が部屋を出て行った後、栞が頬杖をついて私に訊ねた。
「そのいとこさんって、お菓子作りが得意な人なの?」
「そうなの。料理もね、すごく上手なの。将来好きになった人の胃袋を掴むんだ、なんて言ってるよ」
私は四つ年上のいとこの顔を思い出して、くすくす笑う。
「ふぅん……」
「どうかした?」
私は首を傾げた。栞が何か言いたそうな顔をしている。
「そのいとこさんのこと、お兄ちゃんに紹介して大丈夫だったの?」
「へ?仲良くしてもらいたいと思ったから話したんだけど。だめだった?」
「別にだめじゃないけど……。いいや、なんでもない」
栞の顔に苦笑が浮かんでいる。それを不思議に思いながら、私は教科書を開いた。
「お前がそういう可愛くない性格してるからだろ」
「二人ともやめてよ!本当は仲良しなくせに」
私は苦笑しながら二人の間に割って入った。
「栞、宿題始めようよ。終わんなくなっちゃうよ」
「あ、やだ、そうだね」
私の言葉に、栞はやっと今日の目的を思い出したようだ。それから、諒を追い払うかのようにしっしっと手を振る。
「ほら、お兄ちゃん、早く出てって」
諒はやれやれとでも言いたげな顔をして、部屋を出ていこうとした。しかしドアのところで足を止めて振り返り、私に向かって笑いかける。
「瑞月、クッキーありがとう。こういうのって嬉しいな」
「また作ったら食べてくれる?」
「あぁ、楽しみにしてるよ」
頷く諒に、私はふと思い出して言った。
「あのね、いとこが諒ちゃんと同じ高校に入ったんだよ」
「例の仲良しのいとこか?そう言えば、今まで名前を聞いたことなかったよな。なんていう人?」
「凛。高山凛って言うの。だからね、もしも会ったら仲良くしてほしいな」
「高山凛さんね。よし、覚えとくよ。じゃ、またな。宿題頑張れよ」
諒が部屋を出て行った後、栞が頬杖をついて私に訊ねた。
「そのいとこさんって、お菓子作りが得意な人なの?」
「そうなの。料理もね、すごく上手なの。将来好きになった人の胃袋を掴むんだ、なんて言ってるよ」
私は四つ年上のいとこの顔を思い出して、くすくす笑う。
「ふぅん……」
「どうかした?」
私は首を傾げた。栞が何か言いたそうな顔をしている。
「そのいとこさんのこと、お兄ちゃんに紹介して大丈夫だったの?」
「へ?仲良くしてもらいたいと思ったから話したんだけど。だめだった?」
「別にだめじゃないけど……。いいや、なんでもない」
栞の顔に苦笑が浮かんでいる。それを不思議に思いながら、私は教科書を開いた。