積年愛に囚われて〜兄的幼馴染は秘め続けていた想いを開放したい〜
「そうだね。忙しそうではあるかな。私たちみたいな一般の学生とは、勉強する中身が違うだろうからね。でもさ、適当に息抜きしてるみたいだよ。友達に会ったり、あ、この間は合コンに駆り出されていたみたいだった」

「合コン?へぇ、諒ちゃんも合コンなんて行くんだ。そういうのは嫌いなタイプかと思っていたから、ちょっと意外。でもさ、医者の卵とか言うと、モテそうだよね。それでなくても、諒ちゃんってイケメンだし」

「イケメンかどうかは分かんないけど」

栞はぷっと軽く吹き出す。

「お兄ちゃん、彼女がほしいってわけでもなくて、合コンは数合わせで仕方なく行っているだけみたい。断りにくくて面倒だって、ぼやいてたもの」

「そうなんだ」

――お医者さんの世界って、色々とお付き合いがあって大変なのかしらね。

そんなことを思いながら、私は野菜を洗う手を止めずに相槌を打つ。それから玉ねぎの皮をむき始めながら、栞に言う。

「栞、お米といでくれる?」

「了解。それで、今日は何を作ってくれるの?」

「じゃあ問題ね。この材料でできるものといえば、なんでしょうか?」

「あ、カレーだ!やった、瑞月が作るのって、美味しいんだよね」

「別に普通のカレーだよ。簡単だから、栞も一緒に作ろうね」

「が、頑張ってみる」

苦笑いする栞に、私はジャガイモの入った袋を差し出した。
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