積年愛に囚われて〜兄的幼馴染は秘め続けていた想いを開放したい〜
この三人で揃うのはとても久しぶりだったから、私は懐かしい気分で胸がいっぱいのまま食事の時間を過ごした。

「うまかったなぁ。ちゃんとニンジン抜いてくれたし」

「出来上がってから、諒ちゃんのニンジン嫌い思い出しちゃって……」

「でも、そのままにしなかったところが、やっぱり瑞月だよな」

「それにしてもさ、久しぶりにまともな食事したよね。瑞月、本当にありがとね」

「本当に、これからもこうやって来てくれるのか?無理しなくていいんだからな」

「でも、こんな美味しい家庭料理を口にしちゃうとさ、ぜひまた、って思う気持ちは止められないよね」

幼馴染たちは満足そうだった。それを見て、私も嬉しくなる。

「私もこうやってみんなと一緒にご飯できて、すごく嬉しい。だから迷惑じゃなければ、本当にまた来てもいい?」

「もちろんだよ!ね?お兄ちゃん」

「なんなら毎日でもいいくらいだ」

「いっそのこと、三人で住めたらいいのにね」

「さすがにそれは無理だろ」

「だよねぇ。おばさんたちが許さない」

久しぶりに聞く滑らかな兄妹のトークに、私はさらに嬉しくなる。

「二人とも変わらないねぇ。なんだかほっとするよ」

「そういう瑞月も変わらないけどね」

にこにこ笑う栞の隣で、諒がぼそっとつぶやく。

「変わってほしいところもあるけどな」

「ん?お兄ちゃん、それ、誰のこと?」

「何でもない、独り言。さて、俺は風呂掃除でもしてくるか」

「あ、よろしく。あたしはこっち、片づける」
< 41 / 191 >

この作品をシェア

pagetop