【加筆修正中】積年愛に囚われて〜兄的幼馴染は秘め続けていた想いを開放したい〜
EP-8
幼馴染たちの部屋を訪ねる生活は一年ほど続いたが、それぞれの環境と状況の変化に伴い、その時間は少しずつ減っていった。栞に恋人ができたことと、諒の医師国家試験に向けた勉強がいよいよ本格化し始めたことが主な理由だ。
「気にせずに今まで通り遊びに来て」
幼馴染たちはそう言ってくれたけれど、忙しそうな彼らの元を今までと同じように頻繁に訪ねるのはさすがに気が引けて、作った料理を時々差し入れる程度になっていた。
しかしそれも必要ではなくなっていく。料理上手な恋人の影響か、栞が料理をするようになっていた。二人の食事の心配がなくなったことに安心しつつも、自分の出番もまたなくなったように感じて寂しい気持ちになった。
子どもの時からずっと一緒だった私たちだったが、ちょうどこの頃は、それぞれがそれぞれの道を歩き始めた時期でもあったのだろう。
諒は無事に医師免許を取得して研修医となり、ますます多忙になったようだった。
大学四年生になった私と栞も、就職活動と卒業論文の執筆などで忙しい日々を送ることになった。その後、無事に大学を卒業した私たちは地元には帰らずに、四年間住み慣れたこの街の企業にそれぞれ就職した。私は建築業界、栞は金融業界だ。
そしてその頃、凛は小さなスナックを開いた。
就職活動を始めた頃、両親は期待を込めた顔で、地元で就職したらどうかと言った。しかし私は、まだ自分一人で頑張ってみたいと思っていた。進学の時のように反対されるかとどきどきしながら口にしてみると、意外にも両親は寂しそうな顔をしながらも私の意思を認めてくれた。
就職してからの私は慣れないことの連続で、毎日を余裕なく過ごしていた。幼馴染たちや従兄たちとは近くに住んでいるというのに、日ごろの雑事に追われてなかなか会えないでいた。メッセージのやり取りで近況を伝え合ってはいたけれど、実際に顔を合わせるのは年に数回程度とごく稀になっていた。
栞が結婚したのは、私たちが大学を卒業してから四年後のことだった。お相手は大学時代から付き合っていた料理上手な恋人だ。結婚式に招かれた私は、大好きな栞の美しい花嫁姿に嬉し涙を流した。
「気にせずに今まで通り遊びに来て」
幼馴染たちはそう言ってくれたけれど、忙しそうな彼らの元を今までと同じように頻繁に訪ねるのはさすがに気が引けて、作った料理を時々差し入れる程度になっていた。
しかしそれも必要ではなくなっていく。料理上手な恋人の影響か、栞が料理をするようになっていた。二人の食事の心配がなくなったことに安心しつつも、自分の出番もまたなくなったように感じて寂しい気持ちになった。
子どもの時からずっと一緒だった私たちだったが、ちょうどこの頃は、それぞれがそれぞれの道を歩き始めた時期でもあったのだろう。
諒は無事に医師免許を取得して研修医となり、ますます多忙になったようだった。
大学四年生になった私と栞も、就職活動と卒業論文の執筆などで忙しい日々を送ることになった。その後、無事に大学を卒業した私たちは地元には帰らずに、四年間住み慣れたこの街の企業にそれぞれ就職した。私は建築業界、栞は金融業界だ。
そしてその頃、凛は小さなスナックを開いた。
就職活動を始めた頃、両親は期待を込めた顔で、地元で就職したらどうかと言った。しかし私は、まだ自分一人で頑張ってみたいと思っていた。進学の時のように反対されるかとどきどきしながら口にしてみると、意外にも両親は寂しそうな顔をしながらも私の意思を認めてくれた。
就職してからの私は慣れないことの連続で、毎日を余裕なく過ごしていた。幼馴染たちや従兄たちとは近くに住んでいるというのに、日ごろの雑事に追われてなかなか会えないでいた。メッセージのやり取りで近況を伝え合ってはいたけれど、実際に顔を合わせるのは年に数回程度とごく稀になっていた。
栞が結婚したのは、私たちが大学を卒業してから四年後のことだった。お相手は大学時代から付き合っていた料理上手な恋人だ。結婚式に招かれた私は、大好きな栞の美しい花嫁姿に嬉し涙を流した。