積年愛に囚われて〜兄的幼馴染は秘め続けていた想いを開放したい〜
瑞月に会える正当な理由ができたことを、心の中でひっそりと喜ぶ。気を付けないと頬が緩んでしまいそうだ。

「でしょ?だからさ、誘ってみてもいいよね?」

栞が確認するように言った。

俺と一緒に住むとなった時に決めた、あるルールを意識して言っているのが分かった。それは、この部屋には身内と共通の友人以外は入れない、というルールだ。異性を連れ込むようなことはまずないだろうと互いに分かってはいたが、余計なもめ事が起きるのを少しでも減らすために作ったルールだった。

だから、俺たちの身内同然で共通の友人でもある瑞月は、当然大歓迎の存在だ。

「もちろんだ。お前が言うように、こうやって俺たちとよく会っているってことになれば、おばさんたちはもっと安心するかもしれない」

そう言いながら、瑞月が一人暮らしをすることになった時のちょっとした騒動を思い出していた。

「だよね?よし、早速瑞月に連絡しなくちゃ!ね、その時はさ、食材費とかは全部うち持ちってことでいいよね」

「それは当然だろ。お願いするんだから。凜が作りに来てくれた時にもそうしてたぜ」

「よし、決まりだね。あとは、瑞月が『うん』って言ってくれたらいいんだけど」

ワクワクした様子の栞に笑いながら、俺も大きく頷いた。

「そうだな」
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