積年愛に囚われて〜兄的幼馴染は秘め続けていた想いを開放したい〜
諒がドアをノックして入って来たのは、栞の部屋で宿題を広げたタイミングだった。
「二人とも、飲み物持ってきたぞ」
何か月ぶりかに会う諒は、背がぐんと伸びていた。
「ありがと」
栞はグラスの乗ったトレイを受け取り、テーブルの上に置く。それから壁際に立ったままだった諒に向かって、怪訝な顔を向けた。
「何?なんか用でもあるの?」
「なんだよ、そんな風に邪魔者扱いしなくたっていいだろ」
「だって、これから瑞月と宿題やるからさ。手伝ってくれないなら出てってよ」
「ったく、可愛くないやつ」
鼻の上に軽くしわを寄せて、諒はくるりと背を向けた。
それを私は慌てて引き留める。
「待って、諒ちゃん!あのね……」
「ん?」
ドアの前で立ち止まった諒は、不思議そうな顔をして私を見た。
私はトートバッグの中に手を入れて、リボンシールを貼った小さな紙袋を取り出す。それを諒の前に差し出して、にっこり笑った。
「はい、これ。高校合格おめでとう」
「え?」
諒は驚いたように目を見開き、私の手元を見た。
「高校合格のお祝いに作ってみたんだ。普通のクッキーなんだけど、良かったら食べてね」
「へぇ、瑞月の手作り?すごいなぁ。どれどれ、早速」
諒は私の手から紙袋を受け取って中を覗き込み、クッキーの一枚をそっと取り出した。
「二人とも、飲み物持ってきたぞ」
何か月ぶりかに会う諒は、背がぐんと伸びていた。
「ありがと」
栞はグラスの乗ったトレイを受け取り、テーブルの上に置く。それから壁際に立ったままだった諒に向かって、怪訝な顔を向けた。
「何?なんか用でもあるの?」
「なんだよ、そんな風に邪魔者扱いしなくたっていいだろ」
「だって、これから瑞月と宿題やるからさ。手伝ってくれないなら出てってよ」
「ったく、可愛くないやつ」
鼻の上に軽くしわを寄せて、諒はくるりと背を向けた。
それを私は慌てて引き留める。
「待って、諒ちゃん!あのね……」
「ん?」
ドアの前で立ち止まった諒は、不思議そうな顔をして私を見た。
私はトートバッグの中に手を入れて、リボンシールを貼った小さな紙袋を取り出す。それを諒の前に差し出して、にっこり笑った。
「はい、これ。高校合格おめでとう」
「え?」
諒は驚いたように目を見開き、私の手元を見た。
「高校合格のお祝いに作ってみたんだ。普通のクッキーなんだけど、良かったら食べてね」
「へぇ、瑞月の手作り?すごいなぁ。どれどれ、早速」
諒は私の手から紙袋を受け取って中を覗き込み、クッキーの一枚をそっと取り出した。