積年愛に囚われて〜兄的幼馴染は秘め続けていた想いを開放したい〜
「大丈夫だよ。メンバーはゼミの子の彼氏関係の人たちで会社員らしいし、その子ももちろん一緒だし。第一、私は数合わせで行くだけだから」

「うぅぅん……」

栞は顔をしかめて唸った。

割と最近、諒からも同じようなことを言われたような気がする。それを思い出して、私は苦笑した。

「私って、そんなにしっかりしていないように見えるかな?」

「うん。少なくとも私にはそう見える」

断言されて私はがっかりした。

栞は頬杖をついて私の顔を覗き込む。

「それって、今週の金曜日だっけ?どこのお店でやるの?場所とか時間とか、私に教えていくのよ?」

「分かったわよ……」

ため息をつく私に、栞もまたため息をつく。

「瑞月はね、どことなく押しに弱そうな感じがあるっていうかさ。だから心配なのよねぇ」

「そんなことないと思うんだけどな。そうだ。合コンに行くってことは、うちの親には絶対に内緒にしておいてよ」

「もちろん、分かってる。だけど、そっかぁ。瑞月、来られないのかぁ」

栞は残念そうな顔をした。

「仕方ないよね。いつまでも瑞月に頼りっきりってわけにもいかないもんね。頑張って何か作ってみるか」

「記憶に残っているうちに、今日練習したのを作ってみたら?すごくおいしくできていたし、たまには自力で頑張ってみるのも大事だよ。好きな人ができた時のためにさ」

私は励ますように栞の肩を叩いた。
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