積年愛に囚われて〜兄的幼馴染は秘め続けていた想いを開放したい〜
合コンは、男性四人、女性四人の集まりだった。ゼミ友達の彼氏を含めた四人全員が会社員、一方の女の子たちは私を含めてそれぞれが大学生や専門学生だった。

初めての場でどう振る舞えばいいのか分からず、私はただ笑顔を貼り付けて端っこの席の方に座っていた。

すると、私の隣にいた男性が気を遣ってくれたのか、にこやかな笑顔で話しかけてきた。

「大原さんって、サークルとかバイトとかしてないんだって?今どき珍しいよね」

私はどぎまぎしながら答えた。

「え、珍しいですか?」

「珍しいでしょ。あ、もしかして、お嬢様か何か?そう言えば、そこはかとなく品があるような気も……」

こういう場に慣れているのか、彼はそんなことを言いながらにっと笑う。

「まさかそんな、気のせいです。至って普通の大学生ですよ」

他の人たちもみんなそうではあったが、彼も嫌な感じの人ではまったくなかったから、私は少しだけ緊張を解いた。

「ところで、二次会は行ける?」

「二次会、ですか?」

「うん。そう。……もしかして大原さんって、こういう合コンみたいなのは初めてなの?」

「はい、実は……。だから緊張していて」

「そうなんだ。へぇ、君みたいな子っているんだな。初々しいっていう感じで可愛いなぁ」

「はぁ……」

本心なのかお世辞なのか、どちらともつかない彼の言葉にやや気持ち悪さを感じながら、反応に困った私は口角を引き上げて作り笑いを浮かべた。
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