積年愛に囚われて〜兄的幼馴染は秘め続けていた想いを開放したい〜

EP-7

幼馴染たちの部屋を訪ねる時は前もって約束をしていて、時間もだいたいは毎回同じぐらいだ。そしてその日も、いつものように夕方の六時過ぎに、彼らの部屋に着いた。

ドアチャイムを押して、私は玄関のドアが開くのを待つ。いつもであれば、ほぼすぐに栞か諒が顔を出すのだが、この時はどちらも出てくる様子がなかった。

「今日、って言ってたはずだけど、聞き間違えたかな」

首を捻りながらもう一度ドアチャイムを鳴らしてみる。しばらくして、ようやくロックをはずす音が聞こえた。ドアが開いて、諒が顔を出す。

「諒ちゃん、こんばんは」

「うん。待たせて悪かったな。……あのさ、ちょっとだけ待っててくれる?」

「え?うん……」

その顔に珍しく動揺の色が浮かんでいるのを見て、私は眉をひそめた。

何かあったのだろうか――。

そう思った時、奥の方からフローラル系の甘い香りが漂ってきた。これまで彼らのこの部屋では嗅いだことのない匂いだ。

ルームフレグランス?というよりは、香水?……まさか、女の人?

私はそっと諒に声をかけた。

「お客さんだった?私、帰ろうか?」

「いや、客とかそういうのじゃないから」

諒が否定の言葉を口にした時、廊下の奥の方から女性の声が聞こえてきた。

「久保田君、妹さん?」

私は弾かれたように、その声の方へ目を向けた。
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