積年愛に囚われて〜兄的幼馴染は秘め続けていた想いを開放したい〜
派手な柄のワンピースを着た髪の長い女性が姿を現した。黄色が目にまぶしい。

私は息を飲んで、近づいてくるその女性と諒の顔を交互に見比べた。

この状況は、いったい――。

初めて聞く冷ややかな声で、諒はその人に言った。

「誰だっていいでしょう?とにかく、帰ってください。話はもう終わったんですから」

「気になるわ。実は久保田君の彼女とか言わないわよね?」

それを聞いた私は思わず声に出してしまう。しかも力いっぱい。

「彼女じゃありませんっ」

その瞬間、諒が私を軽く睨んだ。

それを見た私は心の中で文句を言う。

どうしてそんな顔するのよ?

「ふぅん……」

彼女は小首を傾げながら、私たちがいる玄関の方へゆっくりと歩いてきた。まるで値踏みでもするかのような目つきで、私を見下ろす。

ふふんと鼻で嗤われたような気がして、私は眉根を寄せた。

諒はと見ると、やはり不機嫌な顔つきで、彼女が玄関に降り立つのを黙って見ていた。

彼女は繊細な形のヒールに足を入れて立った。それから急に体の向きを変えたかと思うと、爪先立って諒の頬にいきなりキスをした。

驚いて息を飲む私の前で、諒もまた目を見開き、次の瞬間には心底嫌そうに彼女から体を引いて顔を背けた。

「やめてください。不愉快だ」

腹立ちを隠さずにそう言うと、手の甲で頬をぐいっと拭う。
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