積年愛に囚われて〜兄的幼馴染は秘め続けていた想いを開放したい〜
「え、でも……」

私は考え込んだ。

「一応は話しておいた方がいいんじゃないかな。それに、隠していても、いつかはばれちゃうんじゃないかしら」

「瑞月が黙っていてくれれば大丈夫だよ。心配かけたくないんだ。それに、栞と取り決めしてあるんだ。ここの部屋には、身内と共通の友人以外は誰も入れないこと、って」

「そうなの?私、当たり前のように普通に来てるけど……友人枠?」

「両方。瑞月は俺たちの幼馴染で、身内みたいなもので、共通の友人だろ?」

「そっか」

「瑞月は特別なの。だいたい、来てほしいって言ってるのは、俺たちの方なんだから」

その言葉に嬉しくなって、頬がひとりでに緩んでしまう。

「とにかく……」

私は顔を元に戻すため眉間に力を入れながら、窓際に寄った。

「いったん空気を入れ替えた方がいいよ。栞に気づかれたくないなら、なおさら早くこの香りを逃がさないと」

「確かにそうだな。――そう言えばお前たちは、こういうの、つけてないよな」

「そうだね。栞は似合いそうなのにね。私の場合は、もっと大人にならないとこういうのは似合わなさそうだから、手は出さないの」

「それじゃあ、瑞月がこういう香りをつけるようになったら、それは大人になった時ってことか」

諒はくすっと笑った。それから私と一緒になって、部屋中の窓をがらがらと開け放った。
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