積年愛に囚われて〜兄的幼馴染は秘め続けていた想いを開放したい〜
「ねぇ、知らないかしら?彼って今、誰か好きな人はいるのかしら?久保田君って、どんな女の子が好きなの?知っているなら教えてくれない?」

私は眉をひそめて彼女を見た。

諒は、彼女からの告白を何度も断ったと言っていた。

しかし、押しかけたあの日もそう思ったけれど、彼女にはへこたれた様子がまったくない。諒のことをまだ諦めていない。

私は深々とため息をつきながら言った。

「そういうことは、ご自分で直接、本人に聞いてみた方がいいと思いますけど」

すると彼女はきらびやかな爪をした手を頬に当てながら、悩まし気な顔をしてため息をついた。

「それがねぇ、久保田君、私のこと、全然相手にしてくれないのよねぇ」

だって諒ちゃんはあなたのことを好きではないし、それ以上に迷惑に思っているからよ――。

そう思ったが、口には出さない。

「それならいっそ、周りから固めちゃおうかしらって思ってね。頑張って行動してみることにしたの」

「はぁ……」

頑張る方向が間違っているような気がするんだけど……。

私の呆れた様子は目に入っていないらしく、彼女は話し続ける。

「例えばあなたのように、久保田君のことを知っていそうな人に、彼のことを色々聞いてみようと思ったわけ。それをもとにして改めてアプローチしてみれば、彼に好きになってもらえるんじゃないかな、って思ったのよね」

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