積年愛に囚われて〜兄的幼馴染は秘め続けていた想いを開放したい〜
諒EP-3
栞の結婚式の二次会に、本当は行くつもりはなかった。身内が二次会に来るなんて、と栞が嫌がるのではないかと思ったのだ。けれど、凛がぜひ祝いの一言も伝えたい、瑞月もいるなら久しぶりに会いたいと言う。別に俺がいなくてもいいだろうと思ったが、凜は言ったのだ。
――二次会なんて、そもそもそういう目的の輩の方が多いに決まってるでしょ。瑞月ちゃんに変なムシがついてもいいの?
凜にそそのかされたような気がしないでもなかったが、にわかに瑞月のことが心配になり、結局は俺も参加することにした。しかし実際は、そんな心配はすでに意味がなかったことを、披露宴の時に知ってしまったのだが……。
とにかくそれを聞いた時、栞はぱっと目を輝かせた。
「『幼なじみ会』って感じで楽しいじゃない!」
そう言えば、と振り返る。凜も一緒になって四人が顔を合わせるのは、ずいぶんと久しぶりだ。
凜は、きりっとした黒のフォーマルスーツでやって来た。手には小ぶりな花束を持っている。
こうして見ると、本当に華があるやつだ。
凛は栞に祝いの言葉をかけているようだ。凛から花束を受け取った栞が、感激したような表情を浮かべているのが見えた。
俺は凜の方に向かって手を挙げ、自分の居場所を知らせた。
「諒、久しぶり。というか、どうしてこんな端っこにいるのよ」
凜は俺の前に座り、小声で言った。
「ま、なんとなく」
これまでの経験上、俺の職業が医者だと知ると根掘り葉掘りと聞いてくる人がいたりして、面倒に思うことが多かった。だから、あえてこの柱の影になる場所に陣取ったのだ。それに、ここからだと店の中全体が見渡せて都合がいい。
――二次会なんて、そもそもそういう目的の輩の方が多いに決まってるでしょ。瑞月ちゃんに変なムシがついてもいいの?
凜にそそのかされたような気がしないでもなかったが、にわかに瑞月のことが心配になり、結局は俺も参加することにした。しかし実際は、そんな心配はすでに意味がなかったことを、披露宴の時に知ってしまったのだが……。
とにかくそれを聞いた時、栞はぱっと目を輝かせた。
「『幼なじみ会』って感じで楽しいじゃない!」
そう言えば、と振り返る。凜も一緒になって四人が顔を合わせるのは、ずいぶんと久しぶりだ。
凜は、きりっとした黒のフォーマルスーツでやって来た。手には小ぶりな花束を持っている。
こうして見ると、本当に華があるやつだ。
凛は栞に祝いの言葉をかけているようだ。凛から花束を受け取った栞が、感激したような表情を浮かべているのが見えた。
俺は凜の方に向かって手を挙げ、自分の居場所を知らせた。
「諒、久しぶり。というか、どうしてこんな端っこにいるのよ」
凜は俺の前に座り、小声で言った。
「ま、なんとなく」
これまでの経験上、俺の職業が医者だと知ると根掘り葉掘りと聞いてくる人がいたりして、面倒に思うことが多かった。だから、あえてこの柱の影になる場所に陣取ったのだ。それに、ここからだと店の中全体が見渡せて都合がいい。