積年愛に囚われて〜兄的幼馴染は秘め続けていた想いを開放したい〜

EP-2

「瑞月ちゃん、ごめんね!待たせちゃったかな?」

「あ、凛ちゃん!大丈夫だよ。ついさっき来たところだったから」

中学生になった私はその日、商店街の雑貨店の前で、いとこの凛と待ち合わせをしていた。二人で会うのはお正月以来だ。その時は、私と凜、それから両方の親たちと一緒になって、初詣に行ったのだった。

いつもはどちらかの家でお菓子作りをすることの方が多かったから、こんな風に凛と二人で外を連れ立って歩くのは、ずいぶんと久しぶりだった。

私は隣に目をやり、春風にさらりと髪をなびかせて歩く凜の横顔をちらりと見上げた。ついでにふと周りを見て、こっそりと苦笑する。女の子たちが、凛の姿を追っているのが分かったからだ。気持ちは分かる、と納得する。
 
いとこの私の目から見ても、凜は素敵だ。雑誌のモデルでもできそうな容姿をしていて、人目を引く。それを言うととても嫌がるから、絶対に本人に向かって口に出したりはしないけれど。

今注目の的となっている当人は、周りの熱い視線に気づいている様子はなく、機嫌良さそうにふんふん……と鼻歌を歌っている。

「ねぇ、凛ちゃん。今日は何を買うの?」

「えぇとね、可愛い雑貨を見つけたの。でもそこのお店、一人だとちょっと入りにくくって……。それで瑞月ちゃんを誘っちゃったんだ。ごめんね」

「全然ごめんねじゃないよ。私も雑貨は好きだし、誘ってくれて嬉しいよ。私で良かったらいつでも付き合うから、遠慮しないで」
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