不埒な一級建築士と一夜を過ごしたら、溺愛が待っていました

完成したと思ったら・・・

「よし、これで一通り完成だな」
「やったぁ!」

 最終図面をチェックしていた黒瀬さんが言い、池戸さんと私はハイタッチした。
 期限ぎりぎりの金曜日。実施設計がようやく終わったのだ。
 もちろん、これから微調整は必要だけど、これで工事に入れると思い、とりあえず、肩の荷が下りた。
 
「お疲れさん。図面は送っとくから、二人とも今日はもう帰っていいぞ」
「土日月って休んでいいですか? このところ彼女をほったらかしだったから、さすがにケアしないと」
「もちろんだ」

 池戸さんが黒瀬さんに確認した。
 先週は期限に間に合わせるために土日も働いていた。さすがに今週末は休んでもいいらしい。
 
「やった、三連休だ!」

 無邪気に喜ぶ池戸さんを見ながら、私は伸びをした。
 洗濯物も溜まってるし、ようやくゆっくりできると。

「じゃあ、俺はこれで失礼します」
「お疲れ様でした」
「また来週」

 池戸さんはうきうきと帰っていった。
 私も帰る準備をしながら黒瀬さんに聞いた。
 
「うちの会社にも図面必要ですよね? 会社に寄ってから帰るので、ついでに届けましょうか?」

 データで送った上で、確認用に出力したものも必要なはずだ。
 このタイミングでは宅急便は間に合わないから、黒瀬さんはバイク便で送るつもりなのだろう。でも、めんどくさいし、費用がもったいない。
 
「それは助かるな。印刷するまで待てるか?」
「はい。コーヒーでも淹れて待ってます。黒瀬さんも飲みますか?」
「飲む」

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