不埒な一級建築士と一夜を過ごしたら、溺愛が待っていました

襲ってもいいんだろ?

 目が覚めたら辺りは暗かった。
 すーすーという誰かの寝息が頭の上から聞こえる。
 そして、私はその人にしがみついていた。

「んー?」

 寝ぼけ眼で身じろぎしたら、暗闇の中、黒瀬さんがぱちりと目を開けたのが見えた。
 そして、いきなり私の顎を掴み、顔を近づけてくる。

「瑞希、ちゃんと覚えてるだろうな?」

 低い声で問いかけられた。
 でも、急に言われてもなんのことだかわからず、きょとんとする。
 そんな私の唇を親指で辿って、黒瀬さんは淫靡に笑った。

「襲ってもいいんだろ?」

 息がかかる距離でささやかれて、かぁっと頬が熱を持つ。
 そういえば、寝る前にそんなことを言っちゃったかも……。
 まだ眠りの残るぼんやりとした頭で考える。

「ちゃんと言ったことに責任とれよ」

 私が覚えているのがわかったようで、ニヤッとした彼は私に口づけた。
 
(え?)

 唇を押しつけられて、口の周りにチクチクと無精髭が当たる。角度を変えてついばまれる。
 
(黒瀬さんとキスしてる!?)

 驚きにはっきり目が覚めた。
 彼は吸いついてきて、離れるときにふにっと唇を挟むように食んだ。それがとても気持ちいい。キスでこんなふうに感じてしまうなんて初めてだった。
 ほっと息をついた隙に、黒瀬さんの舌が入ってきて、またそれに翻弄される。
 キスに夢中になっていたら、彼の手が今度は私の胸をまさぐった。
 Tシャツの薄い布を通して彼の手の感触や熱さえも感じる。
 胸の先端がTシャツとこすれて、快感に立ち上がった。
 すぐに直接さわってほしくなって、身をよじる。

「ん……んぅっ、んん……」
 
 我ながら、鼻にかかった甘い声をあげてしまう。
 こんなに快楽に弱いはずはなかったのに、彼の手は魔法のように私をとろけさせた。

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