姉の婚約者の教師と生徒が同居することになったのだが

流牙先生視点



 迷惑ってはっきりいわれると、結構辛いものがあるな。担任であり、顧問である人と同居だっていうのも迷惑な原因の一つだと思うけれど。家族っていいなって思っていたのは、俺だけだったのだろうか。

 たしかに会ってすぐに結婚を即決するなんて、おかしいのかもしれない。
でも、俺には反対する家族もいない。高校の時に両親が交通事故で亡くなったけれど、サッカーの特待生で寮生活だった俺はそのまま寮で生活して大学に進学した。大学も特待生として入学して授業料はあまりかからずに卒業を迎えた。

 俺には安定した生活が必要だった。
 そのためには公務員として働くことが一番いいように思えた。
 ケガのこともありプロとしてやっていくのは無理だと思ったからだ。

 それにしても、昨日はびっくりしたな。
 風呂上がりのあかりに会うとは。
 洗面所は風呂場とつながっている。
 今度から入るときは気を付けないとな。

 しかもサッカー一筋だった俺は、女性と付き合ったことがなかった。
 寮生活だったし、恋愛もサッカーも両立できるほど器用ではない。
 男ばかりの生活だったせいか、近くに女性がいるというのは、俺には初のできごとだ。婚約者の愛羅(あいら)さんとは付き合ったと言っても、2、3回程度しか会っていない。婚活パーティーと挨拶の時と引っ越しの時だけ。デートもしてない。たまに連絡する程度でこれが交際というものなのかもさっぱりわからない。これはSNSとかそういったつながりに近いのではと思ったりしていた。でも、今は仕事も充実していて家族も良い人で、俺は毎日が楽しい。咲原あかりもいい奴だ。
 これは教師としては失格なのかもしれないが、洗濯物が室内に干してあるときがある。女性もの……多分あかりのブラジャーやパンティーらしきものが目に入る。男としては、目をそらさざるおえない。

 彼女の下着も見たことがない俺が彼女の妹の下着を見ているとは、変な話だが。別に見たくて見ているわけではないぞ。たまたま目に入っただけで。あくまで俺は、家族として接しているつもりだが。本当の家族だったら、下着が目に入っても気にならないものなのだろうか? 俺には全くわからない。
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