笑わない向日葵
「いーじゃん!挨拶は何回してもいいの!」
「あっそ…」
「向日葵、つめたーい!ねえ、向日葵、今日の私かわいい?」
目の前にはくりくりの目。ふわふわの茶色い長い髪の毛。手にはハイブランドのバッグ。爪はピンクでキラキラのストーン付き。
そして何よりも眩しい笑顔。
男ウケ抜群、どこからどう見ても可愛い女の子。
それが、伊集院撫子だった。
「はいはい。可愛いですよー」
「やだやだ。棒読みやだー!」
「可愛いー可愛いー。笑う撫子かわいい」
この菊女で私と撫子はちょっと有名。
私は庶民にもかかわらず入学した無表情の変人だし。
撫子はわずか数年で財を成したニコニコの成金令嬢。
そんな私達は、笑わない向日葵と笑う撫子のあだ名がついている。