はじめまして、期間限定のお飾り妻です
11話 面接の希望
リカルドは今、応接間の扉の前に立っていた。
「まさか……本当に、この中で私を待っているのだろうか……?」
ゴクリと息を呑み、リカルドは扉をノックした。
――コンコン
「……」
少しの間、待ってみるが何も反応は無い。
「やはり、いないのだろうか?」
念の為にもう一度、今度は声をかけながらノックすることにした。
――コンコン
「失礼いたします」
けれど、やはり反応は無い。
「何だ、やはりもう帰っているのか」
胸をなでおろしながら、リカルドは扉を開け……目を見開いた。
「え!?」
太陽が差し込む部屋の中に、ソファに座ったまま居眠りをしているイレーネの姿がリカルドの目に飛び込んできた。
「こ、この方は……一体……?」
リカルドは驚きながら、応接間の中に入った。
居眠りをしているイレーネのブロンドの髪が太陽の光に照らされてキラキラと輝いている。その姿はまるで天使のように見えた。
(まさか、本物の天使では無いよな……?)
そこで恐る恐るイレーネに声をかけた。
「あの……御令嬢?」
それでもイレーネは目を覚まさない。
「すみません、御令嬢」
困ったリカルドは再度、イレーネに声をかける。すると――
「ん……」
長い睫毛を震わせ、イレーネがゆっくり目を開けた。目を覚ましたばかりの彼女は半分寝ぼけている。
突然目の前に現れたリカルドに驚くこともなく、挨拶をした。
「……あら……どうも、こんにちは……」
「ええ、こんにちは。私をお待ちだったとフットマンから聞いたのですが……それは本当のことでしょうか?」
そしてリカルドは笑みを浮かべる。
「えっと……?」
そこでイレーネはようやく頭がはっきりし、慌てて立ち上がると謝罪の言葉を口にした。
「あ……! このお部屋の居心地があまりに良かったものですから、うたた寝をしてしまいました。! 大変申し訳ございません!」
「いえ、それは私がお待たせしてしまったからですよね? それで……どのくらい、お待たせしてしまったでしょうか……?」
リカルドは恐る恐る尋ねた。
「そうですね……? 5時間程でしょうか……?」
「ええ!! 5、5時間ですか!! そ、そんなにお待たせしてしまったのですか!?」
あまりのことに、リカルドは身体がのけぞるほどに驚く。けれど、イレーネは気にもとめずに話しかけた。
「あの、もしや……あなたがリカルド・エイデン様でしょうか?」
「え、ええ。確かに私がリカルドですが……」
「そうなのですね? ああ……良かった。私はイレーネ・シエラと申します。今回、職業紹介所でこちらの求人を拝見いたしまして『コルト』から参りました。紹介状も持っております。面接を受けさせていただけますか?」
「え……? も、もしや……私が出した求人をご覧になって、こちらにいらしたのですか?」
「はい、そうです。あ、でもご安心下さい。どのような用件で、このお屋敷に来たのかはどなたにも話しておりませんので。応募要項に、そのように記載されておりましたよね?」
「ええ……確かにそう記しましたが……」
リカルドは驚きながら、頷く。
(まさか、本当に応募要項通りに誰にも求人の件で訪ねてきたことを話していないなんて……挙げ句に、こんなに長時間待たされても怒りもしないとは……)
「それで……面接はしていただけるのでしょうか?」
申し訳無さそうにイレーネは尋ねた。
「ええ、当然です。何しろ、こんなにお待たせしてしまった上に面接をしないはずありません」
(口も固く、長時間待たされても怒ることもしない……それに所作も美しい。この方ならひょっとして、あの方をお任せしてもよいかもしれない……)
笑顔で答えながら、リカルドは改めてイレーネを見つめるのだった――
「まさか……本当に、この中で私を待っているのだろうか……?」
ゴクリと息を呑み、リカルドは扉をノックした。
――コンコン
「……」
少しの間、待ってみるが何も反応は無い。
「やはり、いないのだろうか?」
念の為にもう一度、今度は声をかけながらノックすることにした。
――コンコン
「失礼いたします」
けれど、やはり反応は無い。
「何だ、やはりもう帰っているのか」
胸をなでおろしながら、リカルドは扉を開け……目を見開いた。
「え!?」
太陽が差し込む部屋の中に、ソファに座ったまま居眠りをしているイレーネの姿がリカルドの目に飛び込んできた。
「こ、この方は……一体……?」
リカルドは驚きながら、応接間の中に入った。
居眠りをしているイレーネのブロンドの髪が太陽の光に照らされてキラキラと輝いている。その姿はまるで天使のように見えた。
(まさか、本物の天使では無いよな……?)
そこで恐る恐るイレーネに声をかけた。
「あの……御令嬢?」
それでもイレーネは目を覚まさない。
「すみません、御令嬢」
困ったリカルドは再度、イレーネに声をかける。すると――
「ん……」
長い睫毛を震わせ、イレーネがゆっくり目を開けた。目を覚ましたばかりの彼女は半分寝ぼけている。
突然目の前に現れたリカルドに驚くこともなく、挨拶をした。
「……あら……どうも、こんにちは……」
「ええ、こんにちは。私をお待ちだったとフットマンから聞いたのですが……それは本当のことでしょうか?」
そしてリカルドは笑みを浮かべる。
「えっと……?」
そこでイレーネはようやく頭がはっきりし、慌てて立ち上がると謝罪の言葉を口にした。
「あ……! このお部屋の居心地があまりに良かったものですから、うたた寝をしてしまいました。! 大変申し訳ございません!」
「いえ、それは私がお待たせしてしまったからですよね? それで……どのくらい、お待たせしてしまったでしょうか……?」
リカルドは恐る恐る尋ねた。
「そうですね……? 5時間程でしょうか……?」
「ええ!! 5、5時間ですか!! そ、そんなにお待たせしてしまったのですか!?」
あまりのことに、リカルドは身体がのけぞるほどに驚く。けれど、イレーネは気にもとめずに話しかけた。
「あの、もしや……あなたがリカルド・エイデン様でしょうか?」
「え、ええ。確かに私がリカルドですが……」
「そうなのですね? ああ……良かった。私はイレーネ・シエラと申します。今回、職業紹介所でこちらの求人を拝見いたしまして『コルト』から参りました。紹介状も持っております。面接を受けさせていただけますか?」
「え……? も、もしや……私が出した求人をご覧になって、こちらにいらしたのですか?」
「はい、そうです。あ、でもご安心下さい。どのような用件で、このお屋敷に来たのかはどなたにも話しておりませんので。応募要項に、そのように記載されておりましたよね?」
「ええ……確かにそう記しましたが……」
リカルドは驚きながら、頷く。
(まさか、本当に応募要項通りに誰にも求人の件で訪ねてきたことを話していないなんて……挙げ句に、こんなに長時間待たされても怒りもしないとは……)
「それで……面接はしていただけるのでしょうか?」
申し訳無さそうにイレーネは尋ねた。
「ええ、当然です。何しろ、こんなにお待たせしてしまった上に面接をしないはずありません」
(口も固く、長時間待たされても怒ることもしない……それに所作も美しい。この方ならひょっとして、あの方をお任せしてもよいかもしれない……)
笑顔で答えながら、リカルドは改めてイレーネを見つめるのだった――