はじめまして、期間限定のお飾り妻です
46話 敷居も値段も高い店
「さぁ、ここがこの町一番のブティックよ。どう?」
ブリジットが両手を腰に当て、背後にいるイレーネに声をかけた。
「まぁ……! なんて大きなブティックなんでしょう。それに、沢山のドレスが並んでいますね」
イレーネはガラス窓から店内を覗き、感嘆の声を上げる。
「それはそうよ。このブティックは私たちのような貴族しか買えない高級ドレスばかりなのよ。何と言っても、ここはマダム・ヴィクトリアのお店なのだから」
ブリジットの連れの黒髪女性が自慢気に語る。
「マダム・ヴィクトリア……? そんなに有名な方なのですか?」
「あなたって、本当に何も知らないのね? まぁ、そんな貧相な服を着ているのだから知るはずもないでしょうけど。マダム・ヴィクトリアの作ったドレスは今若い貴族女性たちの間で流行の最先端をいってるのよ。彼女のドレスを着るだけで、自分の価値を上げられるのだから」
その言葉にイレーネは目を丸くするす。
「そうなのですね? 自分の価値を上げられるなんて……素晴らしいです。決めました、私もこのお店で服を買うことにいたします。ご親切にアドバイスを頂き、どうもありがとうございます」
お礼を述べるイレーネに、当然ブリジットと連れの女性は驚いた。
「は? あなた、一体何を言ってるの? マダム・ヴィクトリアは一流デザイナーだから、それだけドレスの値段が張るのよ? あなたみたいな貧乏人が買えるはず無いじゃないの! 店内に入っても追い払われるだけよ」
黒髪女性が目を吊り上げる。するとブリジットが止めに入った。
「いいわよ、それじゃ私たちが一緒にお店に付き添ってあげるわよ」
「え? 何を言ってるの? ブリジット」
「落ち着いて、アメリア」
ブリジットは連れの黒髪女性、アメリアの耳元に囁く。
「どうせ、彼女は店に入ったところで追い出されるに決まってるわ。だから私たちが付き添って店に連れて行くのよ。どうせお金なんか持っていないのだから買えるはず無いじゃない。彼女に恥をかかせて、身の程を教えてあげましょうよ」
「なるほど……それは面白そうね?」
「ええ、でしょう?」
2人の令嬢がコソコソ話をする様子を、イレーネは首を傾げて見ている。
「話は決まったわ。私たちが一緒にお店に行ってあげるわよ。ついてらっしゃい」
ブリジットがイレーネに声をかけた。
「本当ですか? ご親切にありがとうございます。正直、私一人では敷居が高そうだったので、心強いです」
笑顔でお礼を述べるイレーネ。
「いいのよ、お礼なんか。それじゃ一緒に入るわよ」
(フフン。高いのは敷居だけじゃないのよ。せいぜい中に入って身の程を知ればいいわ)
ブリジットは意地悪な笑みを浮かべると、店の回転扉を押した――
ブリジットが両手を腰に当て、背後にいるイレーネに声をかけた。
「まぁ……! なんて大きなブティックなんでしょう。それに、沢山のドレスが並んでいますね」
イレーネはガラス窓から店内を覗き、感嘆の声を上げる。
「それはそうよ。このブティックは私たちのような貴族しか買えない高級ドレスばかりなのよ。何と言っても、ここはマダム・ヴィクトリアのお店なのだから」
ブリジットの連れの黒髪女性が自慢気に語る。
「マダム・ヴィクトリア……? そんなに有名な方なのですか?」
「あなたって、本当に何も知らないのね? まぁ、そんな貧相な服を着ているのだから知るはずもないでしょうけど。マダム・ヴィクトリアの作ったドレスは今若い貴族女性たちの間で流行の最先端をいってるのよ。彼女のドレスを着るだけで、自分の価値を上げられるのだから」
その言葉にイレーネは目を丸くするす。
「そうなのですね? 自分の価値を上げられるなんて……素晴らしいです。決めました、私もこのお店で服を買うことにいたします。ご親切にアドバイスを頂き、どうもありがとうございます」
お礼を述べるイレーネに、当然ブリジットと連れの女性は驚いた。
「は? あなた、一体何を言ってるの? マダム・ヴィクトリアは一流デザイナーだから、それだけドレスの値段が張るのよ? あなたみたいな貧乏人が買えるはず無いじゃないの! 店内に入っても追い払われるだけよ」
黒髪女性が目を吊り上げる。するとブリジットが止めに入った。
「いいわよ、それじゃ私たちが一緒にお店に付き添ってあげるわよ」
「え? 何を言ってるの? ブリジット」
「落ち着いて、アメリア」
ブリジットは連れの黒髪女性、アメリアの耳元に囁く。
「どうせ、彼女は店に入ったところで追い出されるに決まってるわ。だから私たちが付き添って店に連れて行くのよ。どうせお金なんか持っていないのだから買えるはず無いじゃない。彼女に恥をかかせて、身の程を教えてあげましょうよ」
「なるほど……それは面白そうね?」
「ええ、でしょう?」
2人の令嬢がコソコソ話をする様子を、イレーネは首を傾げて見ている。
「話は決まったわ。私たちが一緒にお店に行ってあげるわよ。ついてらっしゃい」
ブリジットがイレーネに声をかけた。
「本当ですか? ご親切にありがとうございます。正直、私一人では敷居が高そうだったので、心強いです」
笑顔でお礼を述べるイレーネ。
「いいのよ、お礼なんか。それじゃ一緒に入るわよ」
(フフン。高いのは敷居だけじゃないのよ。せいぜい中に入って身の程を知ればいいわ)
ブリジットは意地悪な笑みを浮かべると、店の回転扉を押した――