はじめまして、期間限定のお飾り妻です
51話 驚く2人
書斎に通されたイレーネは疲れ切った様子のルシアンとリカルドを見て首を傾げた。
「ルシアン様もリカルド様も本日はお忙しかったのですか? 随分疲れた御様子にみえますが?」
「「は……??」」
イレーネの言葉に呆れる2人。そしてルシアンは咳払いするとイレーネに質問をした。
「イレーネ嬢、先程も尋ねたが……今まで何処に行っていたのだ? 昼食の時間になっても戻ってこないので、何か遭ったのではないかとリカルドが心配していたんだぞ?」
「はい!?」
いきなり、リカルドは自分の名前を出されて度肝を抜かれた。
「ル、ルシアン様……? 一体今の話は……」
しかし、リカルドはそこで言葉を切った。何故ならルシアンが自分のことを睨みつけていたからである。
「まぁ……そうだったのですか? リカルド様、御心配おかけしてしまい大変申し訳ございませんでした」
イレーネは丁寧に謝罪した。
「い、いえ。確かにとても心配は致しましたが……こうして無事にお帰りになられたので良かったです。それでイレーネさん、何故ここまで遅くなったのか教えて頂けませんか?」
「はい、親切なお方にお会いして、自分の価値を上げてまいりました。ついでにお腹が空いてしまったので、軽く食事を済ませてきたので遅くなってしまいました。でもまさかそれほどまでにリカルド様に心配されていたとは思いませんでした。重ねてお詫び申し上げます」
「い、いえ。そんなに丁寧に謝らなくても大丈夫ですよ。イレーネさん」
美しいイレーネにじっと見つめられ、思わずリカルドの頬が赤くなる。
(何なんだ? リカルドの奴は……? まさか、イレーネ嬢に気があるのか?)
自分でリカルドに話をふっておきながら、何故かルシアンは面白くない。そこで大きく咳払いすると、呼びかけた。
「ゴホン! ところでイレーネ嬢」
「はい、ルシアン様」
「先程、自分の価値を上げてきたとか何とか言っていたようだが……一体それはどういう意味なのだね?」
「そうです! 私もそのことが気になったのです!」
リカルドが口を挟んできた。
「はい、本日はルシアン様の契約妻として恥じないように身なりを整えようと思い、ブティックを探しておりました。そこへ2人の親切な女性が現れて、私をマダム・ヴィクトリアというお店に連れて行ってくださったのです。そうそう、そのうちの1人の女性はブリジットという名前の女性でした。確か、一度このお屋敷でお会いしたことのある女性です。そのお店で12着のドレスと靴にアクセサリーを頂いた小切手で購入させて頂きました」
「な、何だって!?」
「何ですって!?」
一気に説明を終えたイレーネの言葉にルシアンとリカルドが目を見開く。
「イレーネ嬢! い、今……何と言った!?」
ルシアンが血相を変える。
「え……? あ、あの……12着のドレスと靴、アクセサリーを購入しましたが……使い過ぎだったでしょうか……? それでも小切手の金額の半分にも満たない金額に押さえはしたのですけど……」
申し訳無さそうに答えるイレーネ。
「いいや! 違う! そうじゃない、あの小切手はイレーネ嬢の支度金として用意したのだから遠慮なく使ってもらって構わないんだ。俺が聞いているのはそこじゃない。一体、誰にそのブティックへ連れて行ってもらったかを尋ねているんだ」
「ええ、そうです。イレーネさん、もう一度その人物の名前を教えてください!」
リカルドも必死の形相を向ける。
「え……? ブリジットという名前の女性……ですけど……?」
「「な、何てことだ……」」
再び、ルシアンとリカルドの声が重なった――
「ルシアン様もリカルド様も本日はお忙しかったのですか? 随分疲れた御様子にみえますが?」
「「は……??」」
イレーネの言葉に呆れる2人。そしてルシアンは咳払いするとイレーネに質問をした。
「イレーネ嬢、先程も尋ねたが……今まで何処に行っていたのだ? 昼食の時間になっても戻ってこないので、何か遭ったのではないかとリカルドが心配していたんだぞ?」
「はい!?」
いきなり、リカルドは自分の名前を出されて度肝を抜かれた。
「ル、ルシアン様……? 一体今の話は……」
しかし、リカルドはそこで言葉を切った。何故ならルシアンが自分のことを睨みつけていたからである。
「まぁ……そうだったのですか? リカルド様、御心配おかけしてしまい大変申し訳ございませんでした」
イレーネは丁寧に謝罪した。
「い、いえ。確かにとても心配は致しましたが……こうして無事にお帰りになられたので良かったです。それでイレーネさん、何故ここまで遅くなったのか教えて頂けませんか?」
「はい、親切なお方にお会いして、自分の価値を上げてまいりました。ついでにお腹が空いてしまったので、軽く食事を済ませてきたので遅くなってしまいました。でもまさかそれほどまでにリカルド様に心配されていたとは思いませんでした。重ねてお詫び申し上げます」
「い、いえ。そんなに丁寧に謝らなくても大丈夫ですよ。イレーネさん」
美しいイレーネにじっと見つめられ、思わずリカルドの頬が赤くなる。
(何なんだ? リカルドの奴は……? まさか、イレーネ嬢に気があるのか?)
自分でリカルドに話をふっておきながら、何故かルシアンは面白くない。そこで大きく咳払いすると、呼びかけた。
「ゴホン! ところでイレーネ嬢」
「はい、ルシアン様」
「先程、自分の価値を上げてきたとか何とか言っていたようだが……一体それはどういう意味なのだね?」
「そうです! 私もそのことが気になったのです!」
リカルドが口を挟んできた。
「はい、本日はルシアン様の契約妻として恥じないように身なりを整えようと思い、ブティックを探しておりました。そこへ2人の親切な女性が現れて、私をマダム・ヴィクトリアというお店に連れて行ってくださったのです。そうそう、そのうちの1人の女性はブリジットという名前の女性でした。確か、一度このお屋敷でお会いしたことのある女性です。そのお店で12着のドレスと靴にアクセサリーを頂いた小切手で購入させて頂きました」
「な、何だって!?」
「何ですって!?」
一気に説明を終えたイレーネの言葉にルシアンとリカルドが目を見開く。
「イレーネ嬢! い、今……何と言った!?」
ルシアンが血相を変える。
「え……? あ、あの……12着のドレスと靴、アクセサリーを購入しましたが……使い過ぎだったでしょうか……? それでも小切手の金額の半分にも満たない金額に押さえはしたのですけど……」
申し訳無さそうに答えるイレーネ。
「いいや! 違う! そうじゃない、あの小切手はイレーネ嬢の支度金として用意したのだから遠慮なく使ってもらって構わないんだ。俺が聞いているのはそこじゃない。一体、誰にそのブティックへ連れて行ってもらったかを尋ねているんだ」
「ええ、そうです。イレーネさん、もう一度その人物の名前を教えてください!」
リカルドも必死の形相を向ける。
「え……? ブリジットという名前の女性……ですけど……?」
「「な、何てことだ……」」
再び、ルシアンとリカルドの声が重なった――