はじめまして、期間限定のお飾り妻です
62 話 あまり変わりない
「え? 専属メイドをつけて欲しいとイレーネさんが仰ったのですか?」
ルシアンの書斎に呼び出されたリカルドが目を見開いた。
「そうだ。夕食の席でイレーネが頼んできたんだ。だからリカルド。お前が彼女にメイドを選んでやってくれ」
「え? 私がですか?」
「ああ。……何か問題でもあるか?」
「いえ、問題というか……メイド選出については、私よりもメイド長が適任だと思います。それに相性の問題とか、色々あるでしょうから最終的にはイレーネさん本人に決めて頂いた方が良いのではありませんか?」
「なるほど……確かに言われて見ればそうかもしれないな」
リカルドの言葉にルシアンは頷く。
「よし、それではリカルド。お前の方からメイド長に伝えてくれ」
「はい、分かりました」
「出来るだけ、早急にイレーネに専属メイドをつけるように言うんだぞ?」
(彼女は大胆な性格だ……野放しにしておけば、何をしでかすか分からないからな)
念押しするルシアン。
「ええ、私もそのつもりでした。お任せください」
(イレーネさんにお目付け役のメイドがいれば安心だ。これで我々一同ハラハラすることが無くなるだろう)
口にこそ出さないが、ルシアンもリカルドも心の中で似たようなことを考えるのだった――
****
翌朝6時。
イレーネはいつものように部屋で朝の支度をしていた。長い金の髪をブラッシングしていると、突然部屋の扉がノックされる。
――コンコン
「あら? 誰かしら?」
ブラシを置くとイレーネは扉を開けに向かった。
「はーい、今開けますね……え?」
扉を開けたイレーネは驚いた。何故なら目の前にはメイド長を筆頭に、20人近いメイド達が勢揃いしていたからである。
「あの…‥‥これは一体……?」
イレーネは目をパチパチさせると、メイド長がにっこり微笑んだ――
****
――8時
「イレーネ……今日は遅いな。いつもなら7時半にはダイニングルームに現れるのに」
テーブルに向かい、新聞を読んでいたルシアンは壁の時計を見た。
「まさか、また何か問題でも起きたのか?」
(何しろ彼女の行動は全く読めないからな……部屋に様子を見に行った方が良いだろうか)
思わず立ち上がりかけた時。
「ルシアン様、おはようございます。お待たせしてしまい、申し訳ございませんでした」
イレーネがダイニングルームに現れた
「あ、ああ。おはよう。それでは食事にしようか?」
そして料理が運ばれて、2人の朝食の時間が始まった。
「イレーネ、今朝はいつもよりも来るのが遅かったが……何かあったのか?」
食事をしながらルシアンが尋ねる。
「はい、実は今朝メイド長さんが大勢のメイドさん達を連れて部屋に来たのです」
「何? そうだったのか?」
まさか、昨日話したことがすぐ実行されたことにルシアンは驚いていた。
(やはり、みんなイレーネのことが気になるのだろうな……)
そんなことを考えながら、ルシアンは先を促した。
「それで、専属メイドは決まったのか?」
「ええ、その件なのですが……誰にも決められなかったので、日替わりで必要なときだけお願いすることにしました。皆さん何故か私のメイドになりたがっていたので誰か1人に絞ることが出来なかったのものですから」
イレーネの言葉に耳を疑うルシアン。
「は? 何だって? それで……メイド達は何と言っていたのだ?」
「はい。皆さん、これからよろしくお願いしますと喜んでいました。メイド長さんからも、ありがとうございますとお礼を言われました」
「あ……ハハハハ。そ、そうか。成程……メイド長が、お礼を言ったのか……」
誰もがイレーネの専属メイドをやりたがった。
そこで決めることが出来なかったメイド長は、最終的にリカルドの言葉通りに従い……このような結果になったのであった。
(全く……これでは今までとあまり変わりは無いじゃないか……)
ルシアンは心の中でため息をつくのだった――
ルシアンの書斎に呼び出されたリカルドが目を見開いた。
「そうだ。夕食の席でイレーネが頼んできたんだ。だからリカルド。お前が彼女にメイドを選んでやってくれ」
「え? 私がですか?」
「ああ。……何か問題でもあるか?」
「いえ、問題というか……メイド選出については、私よりもメイド長が適任だと思います。それに相性の問題とか、色々あるでしょうから最終的にはイレーネさん本人に決めて頂いた方が良いのではありませんか?」
「なるほど……確かに言われて見ればそうかもしれないな」
リカルドの言葉にルシアンは頷く。
「よし、それではリカルド。お前の方からメイド長に伝えてくれ」
「はい、分かりました」
「出来るだけ、早急にイレーネに専属メイドをつけるように言うんだぞ?」
(彼女は大胆な性格だ……野放しにしておけば、何をしでかすか分からないからな)
念押しするルシアン。
「ええ、私もそのつもりでした。お任せください」
(イレーネさんにお目付け役のメイドがいれば安心だ。これで我々一同ハラハラすることが無くなるだろう)
口にこそ出さないが、ルシアンもリカルドも心の中で似たようなことを考えるのだった――
****
翌朝6時。
イレーネはいつものように部屋で朝の支度をしていた。長い金の髪をブラッシングしていると、突然部屋の扉がノックされる。
――コンコン
「あら? 誰かしら?」
ブラシを置くとイレーネは扉を開けに向かった。
「はーい、今開けますね……え?」
扉を開けたイレーネは驚いた。何故なら目の前にはメイド長を筆頭に、20人近いメイド達が勢揃いしていたからである。
「あの…‥‥これは一体……?」
イレーネは目をパチパチさせると、メイド長がにっこり微笑んだ――
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――8時
「イレーネ……今日は遅いな。いつもなら7時半にはダイニングルームに現れるのに」
テーブルに向かい、新聞を読んでいたルシアンは壁の時計を見た。
「まさか、また何か問題でも起きたのか?」
(何しろ彼女の行動は全く読めないからな……部屋に様子を見に行った方が良いだろうか)
思わず立ち上がりかけた時。
「ルシアン様、おはようございます。お待たせしてしまい、申し訳ございませんでした」
イレーネがダイニングルームに現れた
「あ、ああ。おはよう。それでは食事にしようか?」
そして料理が運ばれて、2人の朝食の時間が始まった。
「イレーネ、今朝はいつもよりも来るのが遅かったが……何かあったのか?」
食事をしながらルシアンが尋ねる。
「はい、実は今朝メイド長さんが大勢のメイドさん達を連れて部屋に来たのです」
「何? そうだったのか?」
まさか、昨日話したことがすぐ実行されたことにルシアンは驚いていた。
(やはり、みんなイレーネのことが気になるのだろうな……)
そんなことを考えながら、ルシアンは先を促した。
「それで、専属メイドは決まったのか?」
「ええ、その件なのですが……誰にも決められなかったので、日替わりで必要なときだけお願いすることにしました。皆さん何故か私のメイドになりたがっていたので誰か1人に絞ることが出来なかったのものですから」
イレーネの言葉に耳を疑うルシアン。
「は? 何だって? それで……メイド達は何と言っていたのだ?」
「はい。皆さん、これからよろしくお願いしますと喜んでいました。メイド長さんからも、ありがとうございますとお礼を言われました」
「あ……ハハハハ。そ、そうか。成程……メイド長が、お礼を言ったのか……」
誰もがイレーネの専属メイドをやりたがった。
そこで決めることが出来なかったメイド長は、最終的にリカルドの言葉通りに従い……このような結果になったのであった。
(全く……これでは今までとあまり変わりは無いじゃないか……)
ルシアンは心の中でため息をつくのだった――