もう2度と会えない貴方へ
「マ、マ?」

眠い目を擦りながら、もうすぐ5歳になる息子。

「……海里(かいり)」

「ママ、どうしたの? なんで、泣いてるの?」

不思議そうに、私の元に駆け寄ってくる愛しい我が子。

「ごめん……ごめんね。すぐ泣き止むから」

海里の前では泣かないとあの日に決めたのに。

これじゃあ、海里を不安にさせるだけだし、ダメダメな母親……。

袖で拭って涙を抑えようとするのに、我慢しきれずポロポロと溢れる。

「ママ、大丈夫? 僕が側にいるから」

そう言って、海里は小さな体でぎゅっと抱きしめてくれた。

久しぶりに感じるぬくもり。

とても温かくて気持ちが徐々に落ち着く。

「ありがとう、海里」

海里の優しさに触れ、嬉しくなって海里を抱きしめ返した。
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