秘めたるイケボは恋の予感?!



「初那~!! がちの初那じゃん! クラス一緒? やべ,俺やっぱ運つえ~!」



ひゃはー! っとした若菜くんに,高知くんは見たこともないようないやーな顔をぎゅっと縮めて見返す。



「は!? 初那知り合い?! 結城なずの知り合いとかやばくね? よっぽど売れてるってこと?!?」

「まぁよく会うしなー。どっちかって言うと初那の方が……」

「若菜。それ以上言ったらまじで許さないから」

「うえ? あー訳ありな感じ? おっけおっけー。これ以上はシークレットで~す。あとは初那に直接聞いてね~」



若菜くんのウィンクに,女子からは悲鳴が,男子からは冗談半分の不満が漏れる。

一通り騒いだあと,担任が手を叩いた。



「へーいじゃあついでにー。テストも近いことだし,席替えすっぞお前ら~!」

「きゃーっ。若菜くんの隣狙えるチャンス!」



くじ引きが今まさに始まりそうになり,私も皆に続いて立ち上がる。

担任が適当に数字を割り振った座席表を見て,自分の席を探していく。

16番,16番,と……

私の席は窓際2行目の3列目で,悪くない席だった。

素早く着席し,窓側の人影に誰だろうと見上げれば。

転校してきたばかりの若菜くんで,思わず凝視する。
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