中古物件
☆☆☆

男が冨永に家を任せて外へ出た後、パチンコをして時間を潰した。
大音量で玉を弾いている機会を見ていると無心になれる。

嫌なことも、余計なことも考えなくて済む、この時間が好きだった。
パチンコに依存してしまう人間の気持ちも、男には理解できた。

午前中全部をつかってパチンコを打って、結局1万円の勝ちで終わった。
外に出ると店の中の騒音が嘘みたいに聞こえなくなる。

ホッと息を吐き出して近くの飲食店へと足を向けた。
パチンコは勝つことばかりではないけれど、負けばかりでもない。

トータルすれば負けの方あ多いゲームだとは思うけれど、多少の負けは男にとって委託も痒くもないことだった。

飲食店でラーメンを頼んで競馬テレビをみながら麺をすする。
大金があるのだから1度だけでもどこかで豪遊してみればいいと、ふと考えることもある。

だけどどうしても遊びたいわけじゃない。
女もギャンブルも、ほどほどで楽しんで十分満足できる。
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