中古物件
今だって、狭い部屋に本を奥スペースはないから、図書館を活用している。
『またいらしてください』
本を借りることなく外へ出る男へ向けて、カウンターの女性が快い声をかけてくれる。
もうすっかり顔なじみになっていた。
男は軽く会釈をして図書館を出た。
時刻は夕方4時を過ぎたころだ。
もう鍵の付替えは終わって、冨永は晩御飯の準備でもしているだろうか。
食材は昨日ミカが沢山購入してきていたので、まだ冷蔵庫にあるはずだ。
だから冨永が買い物に出かけることはない。
そもそもあいつは徒歩であの家まで来ていたから、安易に外出はできないはずだった。
近所のスーパーへ行くのだって車で15分くらいはかかる場所だ。
あんな場所まで歩いてくるなんて、そうとうあの家に思入れがあったに違いない。
それなら、その家を返してやろうじゃないか。
永遠に、あいつのものにすればいい。
ひと気がないのを確認した男は立ち止まり、スマホを取り出した。
ここで連絡するのは普通なら警察だ。
『またいらしてください』
本を借りることなく外へ出る男へ向けて、カウンターの女性が快い声をかけてくれる。
もうすっかり顔なじみになっていた。
男は軽く会釈をして図書館を出た。
時刻は夕方4時を過ぎたころだ。
もう鍵の付替えは終わって、冨永は晩御飯の準備でもしているだろうか。
食材は昨日ミカが沢山購入してきていたので、まだ冷蔵庫にあるはずだ。
だから冨永が買い物に出かけることはない。
そもそもあいつは徒歩であの家まで来ていたから、安易に外出はできないはずだった。
近所のスーパーへ行くのだって車で15分くらいはかかる場所だ。
あんな場所まで歩いてくるなんて、そうとうあの家に思入れがあったに違いない。
それなら、その家を返してやろうじゃないか。
永遠に、あいつのものにすればいい。
ひと気がないのを確認した男は立ち止まり、スマホを取り出した。
ここで連絡するのは普通なら警察だ。