犬猿☆ラブコンフリクト-山崎優の場合-
山崎side



お昼休みが終わっても、真白ちゃんは作業を終わらせることが出来ず、放課後に持ち越しになった。



真白ちゃんの作業を手伝いながら自分の作業も同時進行しているんだけど・・・。



「真白ちゃん、その資料上下逆だよ」



「っ・・・!?す、すみません!」



いつもならしないようなミスを連発している真白ちゃん。



やっぱりお昼の時にキスしたから動揺してるのかな?



キス1つで真面目な子がポンコツになっちゃうの、可愛すぎない?



本当、見てて飽きないなぁ。



頬杖をつきながら微笑み、真白ちゃんのことを見つめる。



「・・・真白ちゃん、もしかしてキスしたことない?」



「はぇ!?な、なに急に言い出すんですか!?」



ビクッと肩を揺らし、手にしていた書類を胸元に引き寄せるようにして俺の方を向く真白ちゃん。



この反応を見るに、初めてかな。



「だとしたら悪いことしちゃったかな?ファーストキス、大事にとってた?」



「なっ、べ、別に!!そんなの気にしてません!!」



「ふぅん・・・それにしては、だいぶ意識してるみたいだけど?」



頑張って反論しようとしてるみたいだけど・・・声、裏返っちゃってるし。



その態度で意識してませんって言うには無理があると思うんだけど。



まぁ、意識してくれてるのは素直に嬉しいけどね。



「・・・それは・・・当たり前じゃないですか。こういうの、慣れてないんですから・・・」



俺から視線を逸らし、書類で顔を隠しながらボソボソと呟く真白ちゃん。



かろうじて見える耳は真っ赤になっているから、多分顔も赤くなってるんだろうな。



「ふぅん・・・そっか。慣れてても困るから、そのままでいてよ。俺はその方が嬉しいから」



「え、なんで?」



「さぁ、なんでだろうね。考えてみて?」



俺の言葉に、書類で顔を隠すのをやめて俺の方を見る真白ちゃんに微笑みながら答える。



まぁ、気付かないだろうけどね。



「・・・?」



案の定、なんの事?といわんばかりの表情をしたまま固まっている真白ちゃん。



キョトンとしてる表情も可愛いな。



「ほら、作業しよっか。帰るの遅くなっちゃうからね」



「あ、はい」



書類を机に戻し、作業を再開する真白ちゃん。



その姿を横目で見ながら俺も作業へと戻った。


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