犬猿☆ラブコンフリクト-山崎優の場合-
作業が一段落してようやく帰れるようになった。
今日は雨は降ってないようだ。
「真白ちゃん、送ってくよ。一緒に帰ろ?」
「え、遠慮します。お疲れ様でした」
荷物を持ちながら、真白ちゃんに声をかける。
だけど、真白ちゃんはビクッと肩を揺らした後に荷物を持ってそさくさとその場を去ろうとする。
「遠慮しないでよ。最近ゾンビに似た変質者出るって言うし、真白ちゃん1人で帰るのは危ないよ」
「へ、変質者・・・?」
俺の言葉で、帰ろうとしていたのを躊躇し始める。
やっぱり女の子だし狙われたらって考えたら怖いもんね。
いや、もしかすると──
「真白ちゃん可愛いから狙われちゃうね。背後から“ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙・・・”って言いながらゆっくり近付いてきて、ガバッと襲われちゃうかもしれないよ?」
「っ・・・え、えっと・・・お、送ってください・・・」
実際に有り得そうなことを伝えると、少し怖がったような表情をしたあと、照れたように俺の方を見てくる真白ちゃん。
あらら・・・可愛い顔しちゃって・・・。
「うん、もちろん。帰ろ?」
「・・・はい・・・」
うつむいて照れてる真白ちゃんのことを愛おしく思いながら微笑んで教室を出る。
閑散とした校舎を2人で歩いていく。
「ねぇ、真白ちゃんって意外と怖がりだったりする?」
「な、なんでそんなこと聞くんですか?」
俺の隣を歩く真白ちゃんにふと気になったことを聞く。
「いや、何となく。さっき変質者の話した時に顔強ばってたから。苦手なのかなーって思って」
「べ、別に!そんなことありませんけど!?」
ムキになりながら答える真白ちゃん。
あぁ、苦手なんだな。
「じゃあ、これ聞いても平気かな?」
「え?こ、これって・・・?」
スクールバックの肩紐をギュッと握りながら、恐る恐る俺の方を見る真白ちゃん。
そんな反応してるのに、怖くないって見栄張っちゃうんだ・・・可愛いなぁ。
「この学校、ケテケテが出るんだ。放課後、この時間帯にね」
「っ・・・!!」
青ざめたような表情になりながら、息を飲む真白ちゃん。
怖くないって言ってたけど・・・すごく怖がってるじゃん。