犬猿☆ラブコンフリクト-山崎優の場合-
昼休みで仕事が終わり、放課後になった。
委員会がないけど、真白ちゃんと一緒に帰りたいからと彼女の教室の近くまで来る。
だけど、真白ちゃんの姿は見えない。
「あれ?どうしたんですか?山崎先輩」
俺が教室の中をのぞいていると、教室の中から中学の時の後輩である藍原 伊織(あいはら いおり)が姿を現した。
その隣には、真白ちゃんの友達の子もいた。
手を繋ぎながら歩いているから・・・カップルかな?
「あぁ、伊織か。隣にいるのは──真白ちゃんのお友達の・・・」
「伊達 一花(だて いちか)です。もしかして、唯に用ですか?」
俺が名前を思い出そうとしている時、自ら名乗ってくれた。
「あぁ、うん。一緒に帰ろうかなって思って。どこにいるか知ってる?」
「唯ならさっき帰りましたよ」
「・・・そっか、残念」
そっか・・・真白ちゃん帰っちゃったのか。
もう少し早く来てたら、一緒に帰れてたのになぁ。
ハァ・・・とため息をつくと、伊達ちゃんが俺の事をマジマジと見つめてくる。
「・・・どうしたの?」
「あ、いや。先輩、もしかして唯のこと・・・?」
この聞き方は、俺が真白ちゃんのことを好きかどうかだろう。
「うん。好きだよ」
「やっぱり・・・!!」
どこか嬉しそうにしながらはしゃぎ始める伊達ちゃん。
「・・・じゃあ今度の土曜、真白も誘ってテーマパークに出掛けません?ダブルデート的な感じで」
ウキウキな伊達ちゃんを見て、思いついたように伊織が声を上げた。
「あっ!!それいいね!!無料チケット貰ってるし!私、唯のこと誘ってみる!!」
「でも、お邪魔じゃない?君達付き合ってるんでしょ?」
「その時は別々に別れて行動すれば良いだけっすよ。むしろ俺らが邪魔になりそうなぐらいなんで、気にしないでください」
2人とも、ダブルデートに乗り気らしい。
俺としては嬉しい限りだけど・・・真白ちゃんが素直にOKしてくれるかな?
「俺は良いけど・・・真白ちゃんが了承しないんじゃない?」
「そこは私が何とかしますんで大丈夫です!」
まっかせてください!と自信満々に胸を叩く伊達ちゃん。
まぁ・・・真白ちゃんの友達の彼女がそこまで言うなら・・・任せようかな。
「じゃあ、土曜日にまた会いましょ!!」
「うん、頼むね」
そう言って2人と別れて帰路についた。
土曜に真白ちゃんとデートか・・・。
楽しみだな。