犬猿☆ラブコンフリクト-山崎優の場合-
一目惚れした子を見つけ、浮かれ気分で学校に向かうけど、大きな問題があった。
そう、彼女とどうやって関わるか、だ。
相手は1年、俺は3年。
どう頑張っても接点がない。
恋愛漫画とかなら、同じ部活でーとか、同じ趣味でーって仲良くなってくのがセオリーだけど・・・ 。
あいにく俺は部活もやってなければ趣味という趣味もない。
接点がゼロからのスタートはかなり厳しいな・・・。
そんなことを考えながら、嫌々決まった委員会の会議に参加するために教室の中に入ると──
お目当ての子が、その場所に座っていた。
もしかしなくても・・・同じ委員会?
誰もやりたがらなかった委員会に選ばれて心底嫌だったんだけど・・・。
あの子と一緒ってだけで天にも舞い上がれそうなほどテンションが上がった。
それを悟られないように彼女の通路を挟んだ斜め後ろ席につき、話し合いを進める。
どうやら、班を決めるみたいだ。
できるなら、同じ班になりたい。
そう思いながらクジを引くと、書類整理の班になった。
結構やることが多くて避けられてる仕事らしいけど・・・俺、クジ運ねぇのかな?
チラッと斜め前のあの子が引いたクジを遠くから見つめる。
遠くからだから見えにくいけど・・・書類整理と書かれているように見える。
「全員引き終わったな。それじゃ、班に別れてペアを決めてくれ」
先程決まった委員長がそういうと、書類整理を引いた面々が集まる。
もちろん、お目当ての子の隣は死守した。
「・・・ペアを作れってことだけど、どう決める?」
「・・・」
話題を振っても、下級生だから意見を言いにくいのか誰も発言しない。
これ、俺が決めなきゃいけない感じか。
「じゃあ今いる場所で決めましょう。私の隣にいる先輩が私と、正面にいる先輩2人がペアでいいんじゃないですか?」
そう思っていた時、隣にいた子が口を開いた。
1年生にも関わらず、先輩相手にもちゃんと意見が言える子みたいだ。
あの時も自分の意思を主張出来てたしな・・・そりゃそうか。
「異議ある人いますか?」
「異議なーし」
「俺も」
先輩相手に意見を聞いていく。
今の所、誰も反対意見はなかった。
「先輩も、いいですか?」
「うん、大賛成」
そして、俺の事を見上げるようにして見つめる彼女に、満面の笑みを浮かべて賛同した。
むしろ、願ったり叶ったりだ。
なんの接点がない状態から、同じ委員会で同じ班になるなんて想像もしてなかった状況だし。
「私、真白 唯です。よろしくお願いします、先輩」
「俺は山崎 優。これから“色々と”、よろしくね、真白ちゃん」
色々と、という言葉を強調して真白ちゃんに伝える。
これからアピールしていくから、覚悟しておいて。