私は、花火のような恋をした。

出会い

シャッシャッ。
静物画のデッサンを描くときや、絵を描くときにだけ聞けるこの音が私は好きだった。

「なぁ、お前絵上手いな」
「え?」
突然聞こえた声に私は、狼狽した。
「絵、上手いな」
聞こえた声は、隣の席だった。
「あ、ありがとう」
「ん」
隣の席の男の子は、イケメンで評判の良い美山隼人(みやまはやと)くん。
絵が上手い、か。初めて言われた。
私には、絵を描く才能しかない。
そのせいで、中学では「絵バカ」とからかわれた。
改めて、私の絵を見る。
古い感じのカエサルの写真をただただ写しただけ。
芸術の才能なんて、これっぽっちも感じられない。
はっきり言って、下手。
そう思っていた。
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