玉響の花霞 あなたにもう一度恋を 弍
少し離れた場所に腰掛けた筒井さんは、
いつもはベランダで必ず吸う煙草を
取り出すと、目の前で火をつけ
そこで吸い始めた。
以前旅立たれる前に、
こう思った事がある‥‥
私から筒井さんのそばを離れる日は
こないけど、筒井さんから離れる日が
来ることはあると‥‥
こういった時、大人の女性なら、
あの続きを拒まず受け入れてあげて
こんなにも苛立たせないのかな‥
私が幼すぎて経験がないだけに、
筒井さんに色々我慢をさせてしまって
いたのかな‥‥
ここに来ることだって本当は
嫌だったのかもしれないのに、
1人で浮かれてしまって恥ずかしい‥
泣いたらまたきっと溜め息を吐かれる。
筒井さんは今まで一度もわたしに
嘘なんて言わなかった人だから、
最後まで信じたい。
あんなツラい台詞を好きな人に
言わせてしまったのだから。
「分かりました‥‥帰ります。
私なんかと向き合って頂いて
ありがとうございました‥‥。
私には‥‥筒井さんと過ごした
時間はどれも‥‥‥
幸せしかありませんでした。
それなのに、
筒井さんが一番苦しい時に、
苦しめてしまってごめんなさい。
お体に気をつけて無理されないで
ください。早く良くなることを
願ってます‥‥」
泣くな‥‥‥
いつも何度もそう言われてきたから、
最後は迷惑をかけたくない。
筒井さんに貰ったキーケースから
鍵を取り外すとテーブルの上に鍵を
そっと置き、ゆっくりと立ち上がった
「また復帰されましたら、
会社の後輩として接しますので、
安心されてください。
今まで‥‥‥
ありがとうございました‥」
『‥‥‥‥』
丁寧に体を折り曲げお辞儀をすると、
リビングに置きっぱなしのスーツケースを手に取り玄関に向かった。
もうここに来ることも二度とない‥‥
ここは思い出が多過ぎるから、
これ以上ここにいたら耐えられない
筒井さんに向かって、
玄関からもう一度深く頭を下げると
ドアを開けて静かに閉め、
急いでエレベーターホールに向かった。
まだ泣くな‥‥‥
こんなところで泣いて誰かに
見られたりでもしたら恥ずかしいから
家までは我慢しないと。
到着したエレベーターに乗ると、
エントランスについた時にちょうど
住人を送ってきたであろうタクシーを
見つけてそのまま捕まえた。
『あれ‥‥井崎さん?』
ドクン
いつもはベランダで必ず吸う煙草を
取り出すと、目の前で火をつけ
そこで吸い始めた。
以前旅立たれる前に、
こう思った事がある‥‥
私から筒井さんのそばを離れる日は
こないけど、筒井さんから離れる日が
来ることはあると‥‥
こういった時、大人の女性なら、
あの続きを拒まず受け入れてあげて
こんなにも苛立たせないのかな‥
私が幼すぎて経験がないだけに、
筒井さんに色々我慢をさせてしまって
いたのかな‥‥
ここに来ることだって本当は
嫌だったのかもしれないのに、
1人で浮かれてしまって恥ずかしい‥
泣いたらまたきっと溜め息を吐かれる。
筒井さんは今まで一度もわたしに
嘘なんて言わなかった人だから、
最後まで信じたい。
あんなツラい台詞を好きな人に
言わせてしまったのだから。
「分かりました‥‥帰ります。
私なんかと向き合って頂いて
ありがとうございました‥‥。
私には‥‥筒井さんと過ごした
時間はどれも‥‥‥
幸せしかありませんでした。
それなのに、
筒井さんが一番苦しい時に、
苦しめてしまってごめんなさい。
お体に気をつけて無理されないで
ください。早く良くなることを
願ってます‥‥」
泣くな‥‥‥
いつも何度もそう言われてきたから、
最後は迷惑をかけたくない。
筒井さんに貰ったキーケースから
鍵を取り外すとテーブルの上に鍵を
そっと置き、ゆっくりと立ち上がった
「また復帰されましたら、
会社の後輩として接しますので、
安心されてください。
今まで‥‥‥
ありがとうございました‥」
『‥‥‥‥』
丁寧に体を折り曲げお辞儀をすると、
リビングに置きっぱなしのスーツケースを手に取り玄関に向かった。
もうここに来ることも二度とない‥‥
ここは思い出が多過ぎるから、
これ以上ここにいたら耐えられない
筒井さんに向かって、
玄関からもう一度深く頭を下げると
ドアを開けて静かに閉め、
急いでエレベーターホールに向かった。
まだ泣くな‥‥‥
こんなところで泣いて誰かに
見られたりでもしたら恥ずかしいから
家までは我慢しないと。
到着したエレベーターに乗ると、
エントランスについた時にちょうど
住人を送ってきたであろうタクシーを
見つけてそのまま捕まえた。
『あれ‥‥井崎さん?』
ドクン