玉響の花霞       あなたにもう一度恋を 弍
きっと計り知れないツラさが
あったと思うのに、ヘラヘラして
お見舞いに行ったいた自分が憎い‥


もっと安心させてあげれば良かったのに
ツラい状況で私に気まで使わせて
いたんだと思う。


とてもしんどかったですよね‥‥




「蓮見さん‥‥一度だけ筒井さんに
 会いに行ったらダメでしょうか?」


『ん?‥‥別にいいんじゃない?
 だって会いたいんでしょ?』


「はい‥‥会いたいです。」


恋人としてではないけど、大切な人の
1人だから、あのままのツラい
別れで苦しめたくなかった


大丈夫‥‥私は大丈夫だから‥


『よし、じゃあ送ってきますか。
 すぐ終わるから一緒に行こう。』


「はい、ありがとうございます。」


もしかしたら追い返されるかも
しれない。


会いたくなかったって言われるかも
しれない。


それでもやっぱり今会わないまま
筒井さんを1人にしたくなかった。


罵ってくれてもなんでもいい。
ただ心と体が今は筒井さんに
向いているから‥‥



『1人で大丈夫?』

「はい、ありがとうございます。」


エレベーターホールで先に降りると、
蓮見さんに笑顔で頭を下げてから
筒井さんの家に向かった。


「ふぅ‥‥‥」


もう二度と来ることはないと思って
出てきた場所なだけに両手が
恥ずかしいほど震えてしまい、
パタパタと手を動かしてから
ゆっくりとインターホンを鳴らした



ピンポーン



よく考えたら自宅療養してるけど、
在宅中かも分からず訪ねてしまった‥


それでもいい‥‥
居なかったらまた来ればいい‥


ガチャ


ビクッ!!


ゆっくりと開けられたドアが
まるでスローモーションのように
感じられ、扉の向こうにいた筒井さんが
私をジッと見つめた。


「こ、こんばんは。
 突然尋ねてしまいすみません。
 あの‥‥今‥‥少し大丈夫ですか?」


ラフなニットにスウェット姿の
筒井さんが私に驚いているのが伝わる


いきなり別れを告げた相手がたったの
数日で尋ねてきたら呆れてるはず。



『‥‥ここだと迷惑だから入れ。』


「えっ?あ‥‥は、はい。すみません‥
 すぐ帰りますから、少しだけ
 お邪魔します。」


少し低めの声に体が震えるものの、
ドアノブを持ったままの筒井さんに
迷惑はかけれず頭を下げて
部屋の中に入った。


「あ、あの‥ここで大丈夫です。」
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