玉響の花霞       あなたにもう一度恋を 弍
あの後力が入らずぐったりした私と
お風呂に入り、温かいお茶を淹れてくれ
たので、筒井さんのブランケットに
くるまり飲んでいた。




『おいで‥一緒に見ないか?』


「えっ?‥あ!‥‥雪ですか!?」


後ろに立った筒井さんが私が
プレゼントしたブランケットで
もう一度包んでくれたので、
持っていたマグカップを持ち上げ
一緒に飲みながら窓の外を眺めた



『綺麗だな‥‥』


次は一緒に見たいと言ってくれた
筒井さんと、こうして同じ景色を
眺めることがとても幸せだと思うと、
瞳からまた涙が一筋流れる



朝までお互いの温もりをいつまでも
感じられたクリスマスを過ごし
また1週間が始まった






「おはようございます。」


クリスマスを終えて年末まで
何処の部署もラストスパートで
業務をこなすと、最終日に佐藤さんと
総務課に呼ばれ、人事も含めた
7階フロアで一年頑張った
お互いに大きな拍手を送り締め括った



去年はいなかった筒井さんがそこに
いるだけで全く違う世界に感じる


フランスと日本というスタートから
始まった1年だったけど、またこうして
みんなで笑い合える終わり方が出来て
成長出来た1年になったと思えた



『霞、お疲れ様。
 また来年もよろしくね。』


「うん、いつもありがとう。
 こちらこそよろしくね。」


杉浦君にも手を振ると、仲良く並んで
帰る姿に嬉しくなる


まだ付き合ってはいないみたいだけど、
デートも終えて、2人でご飯には
行っていると聞いていた


『井崎さんお疲れ様。』


「古平さん、お疲れ様です。
 今年もありがとうございました。」


『いつも助けてもらってるから
 こちらこそありがとう。
 来年は旅行に一緒に行くわよ!』


「はい、楽しみにしてます!」


着替え終え佐藤さんにも1年の感謝の
挨拶を済ませると、エレベーターホール
の前にいた筒井さんと蓮見さんを
見つけた。


「お疲れ様です。
 1年色々とご迷惑をおかけしました。
 来年もよろしくお願いします。」


『霞ちゃんお疲れ様。
 仕事では迷惑かかってないけど、
 プライベートがさぁ?ほら俺
 奉仕し過ぎだと思うから来年は
 高給取りの筒井くんに奉仕して
 貰わないとね。』


『は?別荘いくつも持ってるやつに
 奉仕するわけないだろ?』


『はぁ‥もういいよ、
 お前には期待してないから。
 霞ちゃんプレゼントありがとう。
 亮とお揃いってところがネックだけど
 シンプルで合わせやすいから
 嬉しいよ。』


「良かったです。
 でもそれ実は‥筒井さんもお揃い
 なんですよ。」


『ゲッ!!』


本当に嫌そうな顔をした蓮見さんを
筒井さんが小突くと面白くて
ついつい笑ってしまう
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