玉響の花霞       あなたにもう一度恋を 弍
明日にはサヨナラだと思ってたから
5日まで日本に居てくださるなんて‥‥


「旅行が終わったら筒井さんはまだ
 お家でゆっくり出来ますね‥‥
 ほんと良かった‥」



こういう非日常的な場所で癒される
ことと、やっぱり1番住み慣れて
落ち着く場所で癒されるのとは
全く違うはず。


蓮見さん達が帰ってきたら
ゆっくり会えるだろうし、筒井さんにも
沢山楽しく過ごして帰って欲しい‥‥



『はぁ‥‥お前‥‥5日まで
 俺のマンションに来ないか?』



「ええっ!?‥だ、だめですよ!
 それだと筒井さんが絶対
 疲れてしまいますから。」


5日までって‥‥
私は環境が大きく変わるわけじゃ
ないからどちらかといえば嬉しいけど、
筒井さんが1人になる時間が
なくなってしまうと思うしやっぱり
迷惑をかけてしまいそうだ。



『言っただろ?
 俺はお前に会いに来たって‥‥。
 お前との大事な時間を今は一緒に
 過ごしたい。』


筒井さん‥‥


そんなふうに考えてくださって
いたなんて知らなくて鼻の奥がツーンと
してしまう。


こんな時でさえ、帰ってしまったら
寂しいとか自分のことしか考えれない
私はやっぱりまだまだ子供なんだと
思った。


限られた時間をこうして
向き合ってくださってるのに
逃げてたら失礼だ‥‥



「‥‥‥ツッ‥私もです‥」


『フッ‥‥‥いい子だ。
 温泉にゆっくり入っておいで。』



首筋に唇を軽く触れさせると、
筒井さんは冷蔵庫からビールを
取り出し美味しそうに飲んでいた。


檜風呂にゆっくり浸かり体を洗うと、
昨日付けられただろう
あの紅い痕の多さに改めて
驚いて顔が熱くなる。


気持ち良すぎていっぱいいっぱいに
なってしまうから、筒井さんが
してることとかよく分かってない‥‥


いつかは消えてしまうんだよね‥


けれど、5日まで筒井さんとの時間が
増えたんだから今しか出来ないことを
何かしてあげたいな。



長く浸かりすぎたのか、
スキンケアをする前にお水を沢山
体が欲しゴクゴクと体に流し込む



「はぁ‥‥美味しい‥‥」


スキンケアを入念におこない
髪の毛を乾かしてから居間に行くと、
外の縁側に腰掛けた筒井さんを見つけ
たので私も一緒にそこに腰掛けた



『帰ったらマスターにも会いに
 行かないとな。』


「すごく喜ぶと思います。私も
 時々会いに行ってるんです。
 ふぅ‥長湯し過ぎて暑いのでとても
 気持ちいいですね‥‥」


『湯冷めしない程度に散歩するか?』


立ち上がった筒井さんが手を
差し出してくれたので、そっと重ねると
ゆっくり涼みながら散歩をした。


この美しい日本庭園を見ることが出来て
本当に良かった‥‥


改めて蓮見さんには沢山お礼を
伝えたいなって思う。

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