天使♡と悪魔★はお嬢様を溺愛する
顔が真っ赤で気まずい私は、外を向いて車窓を眺めていた。
そして、何気なく道路の横にあるビルを見ていた時の事だった。
「あっ!!あ…あぶ…危ない!!」
私は思わず大きな声で叫んだ。
その理由は、ビルの高い所で子供がベランダの柵を乗り越えようとして、今にも落下してしまいそうになっているではないか。
「…どうなさいましたか?」
龍崎と早乙女が同時に見上げたその時!!
子供が滑って落ちる寸前だったのだ。
すると、二人は咄嗟に車から飛び降り、ビルの方へ走り出した。
次の瞬間、信じられない光景が目に飛び込んできた。
二人は空を飛んだのだ。
背中からそれぞれ黒と白の羽が出て、力強く羽ばたいたのだった。
「えっ…っえええ!!!」
一瞬の出来事で目の錯覚かと思ったが、それは現実だった。
子供を元のベランダに戻して、降りてきた二人の背中には羽が付いているではないか。
龍崎は黒く艶のある漆黒の美しい羽。
早乙女は純白の華麗な羽。
「う…う…うそ…だよね!」
私が腰を抜かすほど驚いているのに対して、二人は平然と車に戻って来た。
「あ…あ…あ…あの…今…ははは…ハネ…羽!!」