天使♡と悪魔★はお嬢様を溺愛する

「恵美様、お父様がお戻りになられたようですよ、さぁ早く玄関にお迎えに参りましょう。」

夕食を終えて、自分の部屋に居た私に、早乙女が大きな声を出した。

「はい、…今、参ります。」

私は急いでパタパタと走り、玄関に向った。
玄関にはすでに、母や家の従業員たちが並んでいた。

皆、笑顔で嬉しそうだ。
お父さんは、皆から愛されているのがわかる。

「お帰りなさいませ!」

皆が一斉に声を掛けたその先に、一人の男性が微笑んでいた。
横には秘書と思われる男性が付き添っている。

皆の中心で微笑んでいるその男性は、少しグレーの髪をお洒落に整え、三つ揃えのきちんとしたスーツを着ている。
優しく微笑む顔には、目尻に深いしわが刻まれている。
とても柔らかい優しい表情だ。

その男性は、私を見つけると、真っすぐ私に向って歩いて来た。

(…この人が私のお父さん?…)

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