もう一度、恋を灯して、消さないで
小指を立てる流星の顔は真剣そのもの。
…この感じだと、なにかタイミングを伺ってるのかな。
ここでは言えないわけがあるんだと察して頷いた。
「絶対だからね。忘れないでよ?」
「忘れるわけないでしょ」
そんな会話をしてから十数分歩き、流星の言ってた通り電車に乗った。
途中で軽くお昼ご飯を食べたり話したりしたけど、昔話は一切しなかった。
地元を離れている時の話だってなかったし。
それに、何回かさりげなく「どこに行くの?」と聞いても、「内緒」としか言ってくれなくて。
秘密主義なところは治ってないんだと、少し不安になった。
「あ、次で降りるよ」
電車に揺られて約二時間ほどだった頃、ようやく駅を降りることができてほっとする。
「ここ、けっこー段差あるから気をつけて」
「えっ…あ、ほんとだ」
流星に言われて下を見ると、たしかに車両とホームの隙間が大きいことに気がつく。
自然な動作で出された手を取り、そっと地に足をつけた。
…なんか。
「…流星って、こんなにスマートだったっけ」
「声に出てるけど?」