もう一度、恋を灯して、消さないで
「“過ごしてた”って…それは、今も…?」
駅を出て少し歩いたところにある古民家カフェに入り、さっきの話の続きを聞くことにした。
私の方から切り出すと、何も言わずに静かに首だけを縦に振った流星。
「そう、なんだ…」
それは、いつか分からないけれど、流星とはまた会えなくなるということを意味するもの。
なんとなくわかってはいたけれど、実際に言われるとかなりこたえる。
何も言えずにいたら、今度は流星の方から話し始めた。
「…中三の夏休みに、おばあちゃんが倒れてさ。結構危ない状態だったみたいで、母さんと父さんと急いでこの街に来たんだ。一命は取り留めたんだけど、一人暮らしのおばあちゃんを放ってはおけないってことになって…」
そこから流星のお母さんとお父さんがおばあさんの面倒を見るため、ここに越してくることになったそう。
「俺だけ残るはずだったんだ。でも…「いつ様態が急変するかわからない。せめて死ぬ前は、お母さんに孫の顔を見せてやりたい」って、母さんに言われてさ。半強制的に、この街に残らされた」
それから転校し、夏休み明けにはこっちの中学に通うことになったらしい。
高校も家から徒歩圏内にあるところを選び、家族の誰かがすぐ家に駆けつけられるようにしたんだとか。
…そんなことがあったなんて、全然知らなかった。